「気づいたら口座のお金が減っている」「家計簿が続かない」と悩んでいませんか?ADHDのお金の管理は、意志の力ではなく仕組みで解決できる部分が多くあります。

私、ADHDなんだけど、給料日のあとすぐ使いすぎちゃってさ…。気づくとお金ないんだよなあ。どうすればいいんだろう?
この記事では、ADHDでお金の管理ができない理由、衝動買いや支払い忘れの背景、家計を仕組み化する具体策までを当事者目線で解説します。
ADHDでお金の管理ができない理由
ここでは、ADHDの人がお金の管理を苦手に感じやすい理由を、特性の面から解説します。原因が分かると、自分を責めずに対策を立てやすくなります。

お金の管理が苦手なのは、努力不足ではなく脳の特性が関係していることが多いんですよ。まずは理由を知るところから始めましょうね。
衝動性で衝動買いをしやすい
ADHDの特性のひとつに「衝動性」があります。欲しいと思った瞬間に、後先を考えずに買ってしまう傾向が出やすいのが特徴です。
「セールだから」「限定品だから」という言葉に反応して、予定になかった買い物をしてしまうこともあります。一度の金額は小さくても、積み重なると家計に大きく響くことがあります。
これは性格の問題ではなく、脳の働きによる傾向です。後ほど紹介する「買う前のワンクッション」を取り入れると、衝動を抑えやすくなります。
不注意で家計簿や記録が続かない
もうひとつの特性が「不注意」です。注意を持続させることが苦手なため、家計簿を手書きでつけ続けるのが難しいという人は少なくありません。
厚生労働省所管の発達障害情報のポータルサイト「注意欠如多動性障害(ADHD)」でも、注意力にさまざまな問題が生じ、生活上の困難につながりやすいことが説明されています。
家計簿が続かないのは「あなたに合っていなかっただけ」と考えると気持ちが楽になります。記録を頑張る方向ではなく、記録しなくても済む仕組みに切り替えるのがおすすめです。
先を見通した計画を立てるのが苦手
ADHDの人は、先の見通しを立てて行動する「実行機能」が働きにくい傾向があります。そのため「月末までいくら残しておくか」を逆算するのが難しいことがあります。
目の前にお金があると「まだ使える」と感じてしまい、月の前半で使いすぎてしまうケースも見られます。これも意志の弱さではなく、特性による傾向です。
計画を頭の中だけで管理しようとすると負担が大きくなります。お金を物理的に分けるなど、見える形にしておくと管理しやすくなります。
キャッシュレスでお金を使った感覚が薄い
クレジットカードや電子マネーは便利ですが、お金が減る実感が乏しいため、知らないうちに使いすぎてしまうリスクがあります。
特にクレジットカードは支払いが翌月以降になるため、「いま使った」という感覚が持ちにくくなります。請求が来てから慌てる、というパターンに陥りやすい支払い方法です。
キャッシュレスを使うなら、使った瞬間に口座から引き落とされるデビットカードや、チャージした分しか使えないプリペイドカードを選ぶと、使いすぎを防ぎやすくなります。
ADHDの衝動買いや浪費を防ぐ仕組みづくり
ここでは、ADHDの衝動買いや浪費を防ぐための具体的な仕組みづくりを紹介します。意志に頼らず、環境やルールで使いすぎを止めるのがポイントです。

気をつけよう、って思っても結局買っちゃうんだよね…。気合いじゃなくてどうにかできる方法ってあるのかな?

そうなんですよ。気合いに頼らず、買えない・使えない仕組みを先に作っておくのがコツなんです。順番に見ていきましょうね。
給料日に先取りで貯蓄分を分ける
最もシンプルで効果が出やすいのが「先取り貯蓄」です。給料が入った直後に、貯蓄分を先に別の口座へ移してしまう方法です。
「残ったら貯金する」では、ADHDの特性上ほぼ残らないことが多いものです。先に貯蓄分を抜き、残ったお金だけで生活すると決めれば、使いすぎを防ぎやすくなります。
使う口座と貯める口座を物理的に分ける
口座を「使う口座」と「貯める口座」に分けると、お金の状況がひと目で分かりやすくなります。貯める口座のキャッシュカードは持ち歩かないようにすると、簡単には引き出せなくなります。
1つの口座にすべて入っていると「まだ残っている」と感じて使いすぎがちです。生活費用の口座を分けておけば、その範囲内でやりくりする意識が自然と働きます。
家賃や光熱費などの固定費は、生活費用の口座から自動引き落としにまとめておくと、支払い忘れも防げて一石二鳥です。
家計簿アプリで支出を自動で見える化する
手書きの家計簿が続かないなら、銀行口座やカードと連携できる家計簿アプリを使う方法があります。連携しておけば、何もしなくても支出が自動で記録・グラフ化されます。
記録のために毎回入力する負担がなくなるので、不注意の特性があっても続けやすいのが利点です。月にいくら使ったかが自動で分かり、使いすぎに早く気づけます。
アプリの「使いすぎ通知」機能をオンにしておくと、設定額を超えたときに知らせてくれます。タスク管理が苦手な人は、こうした通知やリマインドの活用が役立ちます。日々の段取りについては、ADHDのタスク管理術をまとめた記事も参考になります。
買う前に時間を置くワンクッションを作る
衝動買いを防ぐには、買う前に少しだけ時間を置く工夫が有効です。「欲しい」と思ってもすぐ買わず、数日寝かせてから判断するルールを作りましょう。
ネット通販なら、すぐに購入せず「ほしいものリスト」や「カート」に入れておきます。数日後に見返したとき、本当に必要か冷静に判断しやすくなります。
- 欲しいものはまずリストやカートに入れて寝かせる
- 金額を働いた時間に換算して必要か考える
- 買い物リストを作り、それ以外は買わない
現金やデビットカードで使いすぎを防ぐ
お金を使った実感を持ちたいなら、現金払いが分かりやすい方法です。1週間分の予算だけを財布に入れ、その範囲でやりくりすると使いすぎを防ぎやすくなります。
キャッシュレスを使いたい場合は、口座から即時に引き落とされるデビットカードや、チャージ額しか使えないプリペイドカードがおすすめです。残高以上は使えないため、自然と歯止めがかかります。
ADHDの支払い忘れや滞納を防ぐ方法
ここでは、ADHDの人が悩みやすい支払い忘れや滞納を防ぐ方法を紹介します。忘れること自体を前提に、忘れても困らない仕組みを整えるのがポイントです。
固定費は口座振替やクレカ払いで自動化する
家賃・光熱費・通信費・税金などの固定費は、口座振替や自動引き落としにまとめてしまうのが基本です。自分で支払う作業がなくなれば、払い忘れも起きにくくなります。
コンビニ払いの請求書を「あとで払おう」と置いておくと、不注意の特性で忘れてしまいがちです。可能なものは自動引き落としに切り替えると、支払いの手間そのものをなくせます。
引き落とし日にお金が足りないと止まってしまうため、固定費は生活費用の口座にまとめ、残高が不足しないようにしておくと安心です。
支払い日をリマインダーやカレンダーで管理する
自動化できない支払いは、スマホのリマインダーやカレンダーに通知を設定しておきます。記憶に頼らず、通知が来たら払うという流れにすると忘れにくくなります。
支払い当日だけでなく、数日前にも通知が来るよう二重に設定しておくと安心です。気づいたその場で支払えるよう、アプリ決済などすぐ完了できる手段を選ぶのも効果的です。
こうした仕組み化や工夫は、日常生活全般のつまずきを減らすのにも役立ちます。生活面の困りごとへの対処は、ADHDの対策をまとめた記事でも詳しく紹介しています。
書類や郵便物の置き場所を一か所に決める
請求書や納税通知などの大事な書類は、届いたら必ず置く場所を一か所に決めておくと、紛失や見落としを防げます。
郵便物をその辺に置いてしまうと、ほかの物に紛れて支払い忘れの原因になります。「お金関係の書類はこの箱だけ」と決め、開封したらそこに入れる習慣をつけましょう。
書類が散らからない環境づくりは、片付けの工夫とも共通します。物の定位置を決める方法は、ADHDで片付けられない理由と対策の記事でも解説しています。
ADHDのお金の管理に使える公的な支援制度
ここでは、自分や家族だけで管理が難しいときに頼れる、ADHDのお金の管理を支える公的な支援制度を紹介します。一人で抱え込まずに相談できる選択肢があります。

自分でやろうとしても、どうしても無理なときってあるよね…。そういうとき、相談できるところってあるのかな?

ありますよ。社会福祉協議会などが金銭管理を手伝ってくれる制度があるんです。頼ることは、決して恥ずかしいことではないんですよ。
日常生活自立支援事業で金銭管理を手伝ってもらう
日常生活自立支援事業は、社会福祉協議会が行う支援です。日常的なお金の出し入れや、公共料金の支払いなどを手伝ってもらえる仕組みになっています。
全国社会福祉協議会「日常生活自立支援事業パンフレット」によると、福祉サービスの利用手続きの支援や、日常的な金銭管理の援助を目的とした事業とされています。
判断能力に不安がある人が対象となる制度です。利用を検討したい場合は、お住まいの市区町村の社会福祉協議会に相談してみましょう。
成年後見制度で財産を法的に守る
成年後見制度は、判断能力が十分でない人の財産を法的に守る仕組みです。家庭裁判所が選んだ後見人が、契約や財産の管理をサポートします。
日常生活自立支援事業よりも踏み込んだ財産管理が必要な場合に検討される制度です。大きな契約や不要な契約から本人を守る役割もあります。
どの制度が合うかは状況によって異なります。まずは社会福祉協議会や地域の相談窓口で、自分に合った支援を一緒に考えてもらうのがよいでしょう。
困ったときの相談先を知っておく
お金の悩みは、専門の窓口に相談することで解決の糸口が見えることがあります。発達障害者支援センターや市区町村の窓口では、お金を含めた生活全般の相談ができます。
すでに借金が膨らんでいる場合は、自治体の消費生活センターや法テラスなどで、返済について相談できます。早めに相談するほど、選べる解決策の幅が広がります。
仕事と生活を含めて整えていきたい人は、就労支援とあわせて相談するのも一つの方法です。働き方の選択肢は、ADHDと仕事の困りごとと対処法の記事も参考にしてみてください。
ADHDのお金の管理に関するよくある質問
ここでは、ADHDのお金の管理についてよく寄せられる質問にお答えします。気になる点があれば、ぜひ参考にしてみてください。
- ADHDで家計簿が続かないのですが、どうすればよいですか?
- 手書きをやめ、口座やカードと連携できる家計簿アプリの活用がおすすめです。自動で記録される仕組みにすると、入力の手間がなく続けやすくなります。
- クレジットカードは使わないほうがよいですか?
- 使うこと自体は問題ありませんが、限度額を低めに設定し、リボ払いを避けると安心です。使いすぎが心配な場合は、即時引き落としのデビットカードも選択肢になります。
- 衝動買いを止めるにはどうすればよいですか?
- 買う前に数日寝かせるルールを作るのが効果的です。すぐ買わずリストやカートに入れ、後日見返して本当に必要か判断すると、衝動を抑えやすくなります。
- 支払い忘れが多いのですが防げますか?
- 固定費を口座振替や自動引き落としにまとめると、払い忘れを防ぎやすくなります。自動化できない支払いは、スマホのリマインダーで通知を設定しておきましょう。
- 自分でお金の管理ができないときは誰に相談できますか?
- 社会福祉協議会の日常生活自立支援事業や、発達障害者支援センターに相談できます。日常的な金銭管理を手伝ってもらえる公的な支援があるので、一人で抱え込まないことが大切です。
まとめ
ADHDでお金の管理が苦手なのは、衝動性や不注意といった特性が関係しており、意志の弱さが原因ではありません。だからこそ、気合いで頑張るより仕組みで解決するのが近道です。先取り貯蓄や口座分け、家計簿アプリの自動連携、固定費の自動引き落としを取り入れれば、記憶や努力に頼らずお金を管理しやすくなります。買う前にワンクッション置く工夫も衝動買い対策に役立ちます。自分や家族だけで難しいときは、日常生活自立支援事業などの公的な支援に頼る方法もあります。

まずは先取り貯蓄や自動引き落としなど、できそうな仕組みを一つ試してみてくださいね。困ったときは、一人で抱えず相談先を頼ってみましょう。
ワナワーク編集部
ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。
本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。

