発達障害の検査とは|種類・費用・受診場所を解説

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「発達障害かもしれない」と思ったとき、何をどこで調べればいいか迷う人は多いです。発達障害の検査とは、問診・心理検査・行動観察を組み合わせて特性を客観的に把握するプロセスのことです。

ワナちゃん
ワナちゃん

友達のアキちゃん、発達障害かもって気になってるんだけど、検査ってどんなことするの?お金もかかりそうで不安だって言ってたなあ。

この記事では、発達障害の検査の種類・流れ・費用・受診できる場所を、公的機関の情報をもとにわかりやすく解説します。「検査で何がわかるの?」という疑問もまとめて解消できます。

発達障害の検査とは|診断を確定するプロセス

発達障害の検査は、「発達障害があるかどうか」を調べるだけでなく、自分の得意・不得意のバランスや、支援に活かせる特性の傾向を把握するための大切なプロセスです。ここでは、検査がどのような要素で構成されているかを解説します。

問診・生育歴の聞き取り

発達障害の診断の出発点は、医師による問診です。現在困っていること、子どものころからの生活や学校・職場でのエピソードを、本人や家族から丁寧に聞き取ります。

聞き取りでは「幼少期に落ち着きがなかった」「学校で集団行動が苦手だった」など、現在だけでなく幼少期の状況も重視されます。大人の場合は過去の通知表や当時の様子を知る家族の協力が役立つこともあります。

発達障害の診断には、「症状が幼少期から続いている」という先天性・恒久性の確認が重要で、問診はその判断の根拠になります。

心理検査・知能検査

問診だけでは把握しにくい「認知や処理のバランス」を数値で明らかにするのが心理検査・知能検査の役割です。医師が「検査が必要」と判断した場合のみ実施されます。

知能検査では、「言語理解」「処理速度」「ワーキングメモリ」などの能力のバランスを測定します。全体的なIQよりも、能力のばらつき(個人内差)を見ることが、発達障害の特性把握に役立ちます。

ADHDが疑われる場合はADHD評価尺度、ASD(自閉スペクトラム症)が疑われる場合は自閉症スペクトラム指数など、症状の傾向に合わせた尺度検査も行われます。

行動観察・医師の総合診断

問診・心理検査のデータに加え、診察中の本人の様子(話し方・反応・行動パターン)を観察した上で、医師が総合的に診断します。

発達障害の診断は単一の検査で決まるものではなく、複数の情報を組み合わせて判断されます。検査の数値だけで「発達障害あり・なし」が決定されるわけではない点を覚えておきましょう。

なお、発達障害の診断ができるのは医師のみです。支援センターや就労移行支援事業所では診断は行えません。

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発達障害の主な検査の種類一覧

ワナちゃん
ワナちゃん

アキちゃん、「WAIS」とか「CAARS」って言葉は聞いたことあるけど何のことかわからないって言ってたなあ。

ワークさん
ワークさん

それぞれ目的の違う検査なんですよ。どの検査を受けるかは医師が判断しますが、どんな検査かを知っておくと安心して受診できますよ。

発達障害の診断で使われる検査は複数あり、医師が必要に応じて組み合わせます。代表的な検査の種類と目的を確認しておきましょう。

WAIS-Ⅳ(ウェクスラー成人知能検査)

WAIS-Ⅳは16歳以上の成人を対象とした知能検査で、世界で広く使われています。適用年齢は16歳〜90歳11ヶ月です。

「言語理解」「知覚推理」「ワーキングメモリ」「処理速度」の4つの指標ごとにスコアを出し、能力のばらつきを可視化します。このばらつきが大きいほど、日常生活で「得意なことと苦手なことの差が激しい」状態として現れやすくなります。

たとえばワーキングメモリが低い場合は記憶のかたよりがあり、処理速度が低い場合は情報を素早くこなす作業が苦手である可能性があります。WAIS-Ⅳの結果は、合理的配慮を申請する際や就労支援の場面でも活用されます。

CAARS(成人用ADHD評価尺度)

CAARSはADHDの傾向を測定するための尺度検査です。質問紙形式で「注意が続かない」「衝動的な行動をとりやすい」などの項目に答えます。

自己評価版と観察者版(家族や支援者が回答)があり、自分の認識と周囲の認識のずれを確認するためにも使われます。点数が高いほどADHDの特性が強く示唆されますが、CAARSの結果だけで診断が確定するわけではありません。

AQ(自閉症スペクトラム指数)

AQ(Autism Spectrum Quotient)はASD(自閉スペクトラム症)の傾向を測るスクリーニング検査です。国際的にも広く利用されています。

「社会的スキル」「注意の切り替え」「細部への注意」「コミュニケーション」「想像力」の5つの領域を50項目の質問で測定します。結果は傾向の強さを示すものであり、診断の補助資料として活用されます。

MSPA(発達障害の要支援度評価尺度)

MSPAは、発達障害の診断ではなく「どのくらい支援が必要か」を評価するための尺度です。医師や心理士が面接形式で実施します。

コミュニケーション・多動性・感覚過敏・学習・感情調節など複数の領域をレーダーチャートで示すことができ、支援計画の立案に役立ちます。診断確定後に就労支援機関などでも使われることがあります。

検査の選択は医師が判断する

どの検査を受けるかは、問診の内容をもとに医師が決めます。すべての検査を受けるわけではなく、症状の傾向に応じて必要な検査だけが選ばれます。

発達障害の検査はどこで受けられる?

発達障害の検査・診断を受けられる場所には複数の選択肢があります。目的に応じて使い分けることが大切です。

精神科・心療内科(診断を受けるなら)

発達障害の診断を確定させたい場合は、精神科または心療内科を受診します。診断できるのは医師のみのため、診断書が必要な場合は必ず医療機関を受診してください。

発達障害の診断を専門とするクリニックもあります。ただし、発達障害専門の医師は全国的に数が少なく、初診まで数ヶ月待ちになることも少なくありません。

初めて受診する場合は「精神科 発達障害 大人(お住まいの地域)」で検索し、大人の発達障害に対応していることを事前に確認してから予約するとスムーズです。

発達障害者支援センター(相談から始めるなら)

発達障害者支援センターは、全国の各都道府県に設置された無料の相談窓口です。診断は行いませんが、「どこで受診すればよいか」の案内や、心理検査の実施(特性の把握を目的としたもの)を行っている機関もあります。

「病院に行く前にまず相談したい」「検査を受けるかどうか迷っている」という場合は、発達障害者支援センターへの相談が最初のステップとして適しています。診断前でも相談でき、費用は基本的に無料です。

発達障害の大人が相談できる無料窓口と利用の流れ 発達障害の大人が相談できる無料窓口と利用の流れ

大学病院・発達障害専門医療機関

合併症(うつ・不安障害など)がある場合や、より詳細な検査を希望する場合は、大学病院の精神科や発達障害専門の医療機関が適しています。

発達障害の診断に対応している医療機関の一覧は、発達障害情報・支援センター(国立障害者リハビリテーションセンター)のウェブサイトからも確認できます(発達障害情報・支援センター(国立障害者リハビリテーションセンター))。

検査の種類や費用・受診の流れについて詳しく知りたい場合は、LITALICO仕事ナビ「発達障害の検査方法や診断について」も参考にしてみてください。

発達障害の検査にかかる費用の目安

ワナちゃん
ワナちゃん

アキちゃんが一番心配してたのって費用なんだよね。何万円もかかったら困るって言ってたなあ。

ワークさん
ワークさん

保険適用かどうかで大きく変わるんですよ。支援センターなら無料、医療機関でも健康保険が使えることが多いんです。

検査の費用は受診先によって大きく異なります。公的な支援機関なら無料、医療機関は保険の有無によって数千円〜数万円程度が目安です。

健康保険が適用される場合

医療機関での問診・診察は健康保険が適用され、3割負担であれば1回の診察で1,000〜3,000円程度が目安です。

心理検査についても保険適用になるケースがあり、WAIS-ⅣやCAARSなど医師の指示のもとで行われる検査は保険点数が設定されています。ただし、全ての医療機関・全ての検査が保険適用になるわけではなく、病院によって異なります。

自費診療の場合

自費(保険外)で包括的な検査を受ける場合は、WAIS-Ⅳ単独で2〜5万円程度になることもあります。複数の検査を組み合わせると、さらに費用がかかる場合があります。

受診前に「心理検査は保険適用ですか?」と事前確認すると安心です。クリニックによっては費用の詳細をウェブサイトに掲載していることもあります。

自立支援医療制度(精神通院医療)の活用

診断を受けて継続的に医療機関に通う場合、「自立支援医療制度(精神通院医療)」を利用すると、医療費の自己負担が1割に軽減されます。

申請は市区町村の窓口で行い、主治医の意見書が必要です。世帯の所得状況によってはさらに上限額が設定される場合もあります。発達障害と診断されてから継続通院する場合は、ぜひ活用を検討してみてください。

受診先費用の目安診断書の発行
発達障害者支援センター基本無料不可
精神科・心療内科(保険適用)数百〜3,000円程度/回可(別途費用)
自費クリニック(包括検査)2〜10万円程度

発達障害の検査を受ける流れ

検査を受けることを決めたら、どのような手順で進めればよいかを把握しておきましょう。「情報収集→受診先の選定→初診→検査→フィードバック」という流れが一般的です。

  • STEP1:情報収集と自己観察 日頃の困りごとや気になる特性を記録しておきます。「いつ」「どんな場面で」困るかを具体的にメモしておくと問診がスムーズです。
  • STEP2:受診先の選定・予約 大人の発達障害に対応している医療機関を探し、予約します。初診まで時間がかかることがあるため、早めに動くのが安心です。
  • STEP3:初診(問診・生育歴の聞き取り) 医師が問診を行い、困りごとや生育歴を確認します。必要に応じて家族や支援者に同席してもらうと、より詳しい情報を伝えられます。
  • STEP4:心理検査の実施 医師が必要と判断した場合、公認心理師や臨床心理士が心理検査を実施します。WAIS-Ⅳは約60〜90分程度かかることが多いです。
  • STEP5:結果のフィードバック・診断 検査結果をもとに医師が総合的に診断し、特性と支援の方向性についてフィードバックを受けます。

検査から診断まで、複数回の受診が必要なことがほとんどです。受診のハードルを感じる場合は、まず発達障害者支援センターへの相談から始めることをおすすめします。

発達障害とは?大人になってから気づく特徴と対処法のアイキャッチ画像 発達障害とは?大人になってから気づく特徴と対処法

検査後に活用できる支援制度

ワナちゃん
ワナちゃん

アキちゃん、検査を受けて診断が出たとしたら、その後どんな支援が使えるのかも知りたいって言ってたなあ。

ワークさん
ワークさん

診断が出ると就労支援や手帳申請など選択肢が広がりますよ。ただし診断がなくても使える支援もたくさんあるんです。

発達障害の診断を受けることで、さまざまな支援制度を利用しやすくなります。主なものを確認しておきましょう。

就労移行支援・就労定着支援

就労移行支援は、障害のある方の就職準備から定着まで支援する制度です。発達障害の診断がある方は対象になりやすく、原則最大2年間利用できます。費用は所得に応じて無料〜上限月額負担が設定されています。

発達障害の就労移行支援とは|対象・料金・選び方を解説のアイキャッチ画像 発達障害の就労移行支援とは|対象・料金・選び方を解説

障害者雇用枠での就職

精神障害者保健福祉手帳を取得することで、障害者雇用枠での就職が可能になります。障害者雇用枠では合理的配慮を受けながら働けるため、「特性に合った働き方」を実現しやすくなります。

発達障害でも就職できる?雇用枠・支援制度の選び方ガイドのアイキャッチ画像 発達障害でも就職できる?雇用枠・支援制度の選び方ガイド

合理的配慮の申請

2024年4月より、障害のある方への合理的配慮の提供は民間企業でも義務化されました。診断がある場合は、職場に対して「業務内容の調整」「座席の配慮」「指示の文字化」などを申請しやすくなります。

発達障害の検査に関するよくある質問

発達障害の検査は何時間かかりますか?
検査の種類や機関によって異なりますが、WAIS-Ⅳのみなら60〜90分程度、複数の検査を組み合わせる場合は半日程度かかることもあります。複数回に分けて実施するケースも多いです。
発達障害の検査は子どもと大人で違いますか?
検査の種類が異なります。大人には主にWAIS-Ⅳ(16歳以上)が用いられ、子どもにはWISC-Ⅴ(5〜16歳)が用いられます。大人の場合は生育歴の聞き取りが重要になります。
検査を受けたら必ず診断はつきますか?
検査を受けても診断がつかない(グレーゾーン)ケースもあります。診断は複数の情報から医師が総合的に判断するため、検査結果だけで決まるわけではありません。
セルフチェックと正式な検査は何が違いますか?
セルフチェックは傾向を確認するための目安に過ぎません。正式な診断は医師のみが行え、心理検査・問診・行動観察を組み合わせた総合的な評価が必要です。
発達障害の検査は一度受けたら繰り返さなくてよいですか?
基本的には一度受けた検査を再度受ける必要はありませんが、環境変化や成長に伴い特性の現れ方が変わることもあります。支援計画を見直す際に再検査が行われることもあります。

まとめ

この記事では、発達障害の検査について以下の点を解説しました。

  • 検査は問診・心理検査・行動観察の組み合わせで行われる
  • 主な検査の種類はWAIS-Ⅳ・CAARS・AQ・MSPAなどで、医師が選択する
  • 受診先は精神科・心療内科または発達障害者支援センターが中心
  • 費用は無料〜数万円と幅があり、自立支援医療制度の活用で軽減できる
  • 診断後は就労移行支援・障害者雇用・合理的配慮などの選択肢が広がる

発達障害の検査は「レッテルを貼られる」ものではなく、自分の特性を正しく理解し、より働きやすい・生きやすい環境につなげるための手段です。「まず相談してみたい」という場合は、発達障害者支援センターへ気軽に連絡してみてください。

発達障害に向いてる仕事10選|特性別の適職を解説のアイキャッチ画像 発達障害に向いてる仕事10選|特性別の適職を解説
ワークさん
ワークさん

検査を受けることで自己理解が深まり、職場での配慮や支援を活用しやすくなりますよ。本記事はワナワーク編集部が監修しています。

この記事の監修者

ワナワーク編集部
キャリア相談歴8年・国家資格キャリアコンサルタント保有。発達障害・精神疾患・HSPなどの当事者向け就職・転職情報を提供するメディア「ワナワーク」の記事制作・監修を担当しています。

本記事の免責事項

本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。