「周りの音や光がつらくて仕事に集中できない」と感じていませんか?ADHDの人は感覚過敏を伴うことがあり、職場の刺激が大きな負担になる場合があります。

私、ADHDなんだけど、オフィスのざわざわした音や蛍光灯がしんどくてさ…。これって感覚過敏ってやつなのかな?
この記事では、ADHDの感覚過敏の特徴、聴覚・視覚・触覚・嗅覚など種類別の症状と対策、仕事での対処法を当事者目線で解説します。
ADHDの感覚過敏とは|特性との関係
ここでは、ADHDの感覚過敏がどういうものか、特性とどう関係しているのかを解説します。仕組みを知ることで、自分に合った対策を選びやすくなります。
感覚過敏とは特定の刺激を過剰に感じる状態
感覚過敏とは、視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚などの刺激を、人より強く受け取ってしまう状態を指します。
同じ環境でも、本人にとっては音が大きく聞こえたり、光がまぶしすぎたりして大きな負担になります。「我慢が足りない」といった性格の問題ではなく、感覚の受け取り方の違いによるものです。
そのため、本人の努力だけで解決しようとせず、環境を整える視点を持つことが大切です。
ADHDと感覚過敏が関係するといわれる背景
ADHDのある人は、感覚過敏を伴うことがあると報告されています。武田薬品工業の「大人の発達障害ナビ・感覚過敏と感覚鈍麻」でも、ADHDやASDで感覚の偏りが見られやすいと解説されています。
ADHDの不注意の特性により刺激の取捨選択が難しく、必要な音と不要な音を区別しにくいことが、過敏さにつながる場合があります。
感覚の受け取り方には個人差が大きいため、すべてのADHDの人に感覚過敏があるわけではない点も押さえておきましょう。
感覚過敏で最もつらいと感じやすいのは聴覚
国立障害者リハビリテーションセンターの「発達障害のある人の感覚の問題」では、最もつらい感覚として聴覚を挙げた人が約55%にのぼると報告されています。
視覚・触覚・嗅覚はそれぞれ1割程度ですが、二番目・三番目につらい感覚としては多く挙げられます。複数の感覚に過敏さが重なることも珍しくありません。

音のつらさが一番多いんですよ。だからこそ職場の音環境を整えるだけで、ぐっと楽になる方もいるんです。
ADHDの感覚過敏の種類別の特徴と対策
ここでは、ADHDの感覚過敏を聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚の5種類に分け、それぞれの特徴と日常でできる対策を解説します。
聴覚過敏|音が大きく刺さるように感じる
聴覚過敏は、周囲の話し声・電話の音・空調音などが大きく聞こえ、集中をさまたげる状態です。冷蔵庫の作動音や時計の秒針が気になる人もいます。
耳栓やノイズキャンセリングイヤホンで音をやわらげる方法が有効です。静かな席を選んだり、苦手な音から物理的に離れたりするのも役立ちます。
視覚過敏|光や色のまぶしさがつらい
視覚過敏は、蛍光灯やパソコン画面の明るさ、点滅する光をまぶしく感じる状態です。情報量の多い画面で目が疲れやすい人もいます。
対策として、画面の明るさを下げる、ブルーライトカットの眼鏡を使う、直射日光が入らない席を選ぶといった調整が役立ちます。
デスクライトで手元だけを照らし、全体の照明を抑えるのも一つの工夫です。
触覚過敏|衣服や接触の感触が気になる
触覚過敏は、衣服のタグや縫い目のチクチク感、特定の素材の肌ざわりが気になる状態です。人に触れられることに強い抵抗を感じる人もいます。
肌触りのよい素材を選び、苦手なタグは外すといった工夫が有効です。制服がある職場では、インナーで調整する方法もあります。
苦手な感触を周囲に事前に伝えておくと、不意の接触を避けやすくなります。
嗅覚過敏|においに強く反応してしまう
嗅覚過敏は、香水や柔軟剤、食べ物のにおいなどに強く反応し、頭痛や吐き気につながる状態です。電車や人混みで体調を崩す人もいます。
対策としては、マスクを着用する、苦手なにおいの場所を避ける、心地よい香りを携帯するといった方法が挙げられます。
休憩時間に換気のよい場所へ移動して、においをリセットするのも効果的です。
味覚過敏|特定の味や食感が苦手になる
味覚過敏は、濃い味付けや特定の食感が苦手で、食べられるものが限られてしまう状態です。職場のランチや会食で困ることがあります。
無理に食べようとせず、食べられるものをあらかじめ把握しておくと安心です。会食の前にメニューを確認しておくのも一つの方法です。
苦手な理由を簡潔に周囲へ伝えておくと、無理にすすめられる場面を減らせます。
ADHDの感覚過敏を仕事で乗り切る対処法

道具で対策するのはわかったけど、職場でどう動けばいいのかが一番悩むんだよなあ…。

大切なのは、自分で工夫することと周囲に配慮を求めること、その両方なんですよ。順番に見ていきましょうね。
ここでは、ADHDの感覚過敏とうまく付き合いながら働くための、職場でできる対処法を紹介します。
刺激の少ない環境を自分で整える
まずは自分でできる範囲で、刺激を減らす工夫から始めましょう。座席を窓側や壁際に変える、パーテーションで視界を区切るなどが効果的です。
耳栓・ブルーライトカット眼鏡・デスクライトなど、自分専用の対策グッズを持っておくと安心です。集中したいときの逃げ場として、空いている会議室を活用する方法もあります。
感覚過敏が集中力に影響している場合は、集中の保ち方も合わせて見直すと効果が高まります。
仕事中の集中が続かないと感じる人は、こちらの記事も参考になります。
周囲に感覚過敏を伝えて配慮を求める
自分の工夫だけで難しい場合は、上司や同僚に感覚過敏を伝え、配慮を求めることも選択肢になります。
伝えるときは「全部つらい」ではなく、「空調の真下が苦手なので席を変えたい」など具体的な配慮をお願いすると伝わりやすくなります。
うまく伝える自信がない人は、相談の進め方を整理しておくと落ち着いて話せます。
職場でのコミュニケーションに不安がある人は、こちらの記事も役立ちます。
オープン就労や障害者雇用で配慮を得る
感覚過敏による負担が大きい場合は、障害を開示して働くオープン就労や障害者雇用も視野に入ります。配慮を前提に働ける点がメリットです。
障害者雇用では、静かな席の確保や耳栓の使用許可など、感覚過敏に応じた配慮を相談しやすくなります。一方で、求人の選択肢が狭まる側面もあります。
オープン就労とクローズド就労にはそれぞれ長所と短所があるため、自分の優先順位に合わせて選ぶことが大切です。
| 働き方 | 感覚過敏への配慮 | 求人の幅 |
|---|---|---|
| オープン就労 | 得やすい | やや狭い |
| クローズド就労 | 得にくい | 広い |
就職活動の進め方や相談先について知りたい人は、こちらの記事も参考になります。
疲れをためない体調管理を心がける
感覚過敏は、疲労や睡眠不足、ストレスがたまると強く出やすくなる傾向があります。体調を整えることも立派な対策の一つです。
睡眠リズムを整え、こまめに休憩をはさんで刺激から離れる時間をつくることが大切です。無理を重ねると、心身の不調につながることもあります。
日中の強い眠気で困っている人は、睡眠の見直しと合わせて対策を考えてみましょう。
ADHDの感覚過敏を相談できる支援機関
ここでは、感覚過敏や働きづらさを一人で抱え込まず、相談できる支援機関を紹介します。困ったときの選択肢として知っておきましょう。
発達障害者支援センター
発達障害者支援センターは、発達障害のある人やその家族の相談に応じる公的な窓口です。各都道府県・指定都市に設置されています。
診断の有無にかかわらず、感覚過敏や働き方の悩みを相談できるのが特徴です。必要に応じて医療機関や就労支援につないでもらえます。
医療機関(精神科・心療内科)
感覚過敏が日常生活や仕事に大きく影響している場合は、精神科や心療内科で相談する方法があります。背景に他の要因がないかを確認できます。
NCNPの「こころの情報サイト・発達障害(神経発達症)」でも、困りごとが続くときの相談先として医療機関が案内されています。
就労移行支援などの就労支援
就労移行支援は、一般就労を目指す障害のある人が、働くための準備やスキルを身につける福祉サービスです。
自分に合う職場環境の整理や、配慮の伝え方の練習をサポートしてもらえます。感覚過敏とどう付き合うかを一緒に考えてもらえる点も心強い部分です。
働き方全般の困りごとを整理したい人は、ADHDと仕事の関係をまとめた記事も参考にしてみてください。
ADHDの就労について幅広く知りたい人は、ADHDの仕事に関する記事をまとめたページもあわせてご覧ください。
ADHDの感覚過敏に関するよくある質問
ここでは、ADHDの感覚過敏についてよく寄せられる質問にお答えします。気になる点の解消に役立ててください。
- ADHDの感覚過敏は大人になってから出ることもありますか?
- 感覚の特性自体は子どもの頃からあることが多いですが、環境の変化で大人になってから自覚するケースもあります。
- 感覚過敏は治りますか?
- 感覚過敏は特性の一つとされ、環境調整や対策で負担を減らしていく付き合い方が中心になります。気になる場合は医療機関にご相談ください。
- ADHDとASDで感覚過敏に違いはありますか?
- どちらにも感覚過敏が見られることがあります。ASDでは触覚の問題が比較的多いとの報告もありますが、個人差が大きいです。
- 職場で耳栓を使ってもいいのでしょうか?
- 音への配慮として耳栓やイヤホンの使用を相談できる職場も増えています。事情を伝えたうえで許可を得ると安心です。
まとめ
ADHDの感覚過敏は、聴覚・視覚・触覚・嗅覚・味覚などの刺激を強く受け取ってしまう状態で、特に音のつらさを感じる人が多い傾向があります。性格や我慢の問題ではなく、感覚の受け取り方の違いによるものです。仕事では、耳栓やデスクライトなどで自分の環境を整えること、周囲に具体的な配慮を求めること、必要に応じてオープン就労や支援機関を活用することが負担の軽減に役立ちます。疲れをためない体調管理も大切な対策の一つです。自分に合う工夫を少しずつ重ねることで、無理なく働ける可能性は十分にあります。

まずは一番つらい感覚から、できる対策を一つ試してみてくださいね。つらさが続くときは医療機関にもご相談くださいね。
ワナワーク編集部
ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。
本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。

