ASDの転職を成功させる進め方|失敗を防ぐコツ

ASDの転職を成功させる進め方|失敗を防ぐコツのアイキャッチ画像

「転職したいけど、また同じ失敗を繰り返しそう」とASD(自閉スペクトラム症)の特性で悩んでいませんか?進め方のコツをつかめば、長く続く職場へ移ることは十分可能です。

ワナちゃん
ワナちゃん

友達のハルくん、ASDで転職を3回繰り返してるんだよね。毎回しんどそうで、どうしたらいいのかなあって思ってさ。

この記事では、ASDの人が転職を考える理由、繰り返しがちな失敗パターンと対策、転職の進め方や職場の選び方までを、在職中・離職中どちらの人にも役立つ形で解説します。

ASDの人が転職を考える主な理由

ここでは、ASDの人が転職を考えるきっかけになりやすい理由を整理します。理由をはっきりさせることで、次の職場選びの軸が見えてきます。

ワークさん
ワークさん

転職を考える理由には共通のパターンがあるんですよ。まず「なぜ辞めたいのか」を言葉にすると、次の一歩が決めやすくなります。

職場環境とのミスマッチが続いている

ASDの人が転職を考える理由として多いのが、職場環境とのミスマッチです。業務の進め方が曖昧だったり、突発的な変更が多い職場では、力を発揮しづらくなる傾向があります。

これは本人の能力不足ではなく、環境との相性の問題であることが少なくありません。同じ人でも、ルールが整った職場では安定して働けるケースが多くあります。

厚生労働省のポータルサイト「こころの耳」でも、職域で問題となる大人の自閉症スペクトラム障害として、職場側の環境改善の重要性が指摘されています。

人間関係の負担が大きくなっている

暗黙のルールや雑談中心のコミュニケーションが多い職場では、ASDの人が消耗しやすくなります。気を張り続けることで、心身の疲れがたまっていくこともあります。

こうした負担が積み重なると、仕事内容自体は嫌いではなくても「もう続けられない」と感じやすくなります。人間関係の負担は、転職を考える大きなきっかけのひとつです。

配慮を得られず体調を崩している

特性を開示していない職場では、必要な配慮を得られず無理を重ねてしまうことがあります。その結果、不安や気分の落ち込みといった二次的な不調につながる場合もあります。

注意ポイント

強い不安や気分の落ち込みが続くときは、転職活動より先に医療機関への相談を優先してください。

ASDの人が転職で繰り返しがちな失敗と対策

ここでは、ASDの人が転職で繰り返しがちな失敗パターンと、その対策を解説します。同じ失敗を防ぐことが、転職回数を減らす近道になります。

ワナちゃん
ワナちゃん

ハルくん、毎回「今度こそ」って意気込むのに、また同じところでつまずいちゃうんだよね。なんでだろう?

ワークさん
ワークさん

失敗には「型」があるんですよ。型がわかれば対策も立てやすいので、ひとつずつ見ていきましょうね。

給与や知名度だけで転職先を決めてしまう

給与や会社の知名度だけで転職先を決めると、入社後に環境のミスマッチが起きやすくなります。条件が良くても、業務の進め方が合わなければ働き続けるのは難しくなります。

対策は、「自分が安定して働ける環境かどうか」を給与より優先して確認することです。業務の指示の出し方や変更の頻度など、働き方に直結する条件をチェックしましょう。

自分の特性を整理しないまま応募する

自分の得意・不得意を整理しないまま応募すると、面接でうまく説明できず、入社後のミスマッチにもつながります。なんとなく求人を選ぶ状態が続くと、転職を繰り返しやすくなります。

対策は、応募の前に特性を言語化しておくことです。「集中して取り組める作業」「苦手な状況」を書き出すだけでも、合う求人を見分けやすくなります。

一人だけで転職活動を進めてしまう

すべてを一人で抱えると、求人選びや面接対策で客観的な視点が得にくくなります。特に自分の強みの言語化は、第三者の助けがあると進めやすい部分です。

対策は、支援機関やキャリアアドバイザーなどの相談先を早めに確保することです。第三者の視点が入ることで、ミスマッチのリスクを下げられます。

ASDの人の転職の進め方5ステップ

ここでは、ASDの人が転職を進める具体的なステップを紹介します。順番に進めることで、迷わず転職活動を進められます。

ステップ1|体調を整え相談先を確保する

最初に取り組みたいのが、体調を整えることと相談先の確保です。不調を抱えたまま転職活動を進めると、判断が焦りがちになります。

必要に応じて医療機関を受診し、就労支援の相談先を見つけておきましょう。土台が整うと、その後のステップを落ち着いて進められます。

ステップ2|特性と働き方の条件を整理する

次に、自分の特性と、働きやすい条件を整理します。前職で何がつらかったか、どんな環境なら力を出せたかを振り返ると、必要な条件が見えてきます。

整理しておきたい項目
  • 集中して取り組める得意な作業
  • 負担になりやすい苦手な状況
  • あると働きやすくなる配慮

自己分析の進め方をもっと詳しく知りたい人は、以下の記事も参考になります。

ASDに向いてる仕事10選|特性別の適職を解説のアイキャッチ画像 ASDに向いてる仕事10選|特性別の適職を解説

ステップ3|雇用形態と開示の方針を決める

転職活動では、一般雇用か障害者雇用か、特性を開示するかどうかを早めに決めておきます。方針が定まると、応募する求人の範囲が絞りやすくなります。

開示の有無にはそれぞれメリットと注意点があります。次の章で詳しく整理するので、自分に合う進め方を選びましょう。

ステップ4|書類と面接の対策を行う

応募先が見えてきたら、書類と面接の対策を進めます。面接が苦手な場合は、想定質問への回答を事前に準備し、声に出して練習しておくと安心です。

転職理由は、前職への不満ではなく「次の職場でどう働きたいか」を中心に伝えると、前向きな印象になります。練習を重ねるほど落ち着いて話しやすくなります。

ステップ5|転職後も支援を続けて定着する

転職はゴールではなく、新しい職場で安定して働き続けることが目標です。入社後も支援機関のサポートを続けると、困りごとを早めに相談できます。

仕事を長く続けるための工夫は、以下の記事でも具体的に紹介しています。

自閉症の仕事の悩みと働き方|続けるコツを解説のアイキャッチ画像 自閉症の仕事の悩みと働き方|続けるコツを解説

ASDの転職で障害者雇用へ切り替える選択肢

ここでは、ASDの転職で一般雇用から障害者雇用へ切り替える選択肢を解説します。配慮を受けながら働きたい人にとって、有力な選択肢になります。

一般雇用と障害者雇用の違い

障害者雇用は、特性を開示したうえで配慮を受けながら働く枠組みです。障害者手帳が必要になりますが、業務内容や環境面で調整を受けやすいという特徴があります。

項目一般雇用障害者雇用
特性の開示原則しない開示する
配慮得にくい得やすい
求人の幅広い限られる
ワークさん
ワークさん

どちらが良いと一概には言えないんですよ。働き続けやすさを軸に、自分に合うほうを選ぶのがおすすめです。

障害者雇用に切り替えるメリットと注意点

障害者雇用に切り替える最大のメリットは、必要な配慮を受けながら働きやすくなる点です。環境が整うことで、長く働き続けられる可能性が高まります。

一方で、求人の幅が限られたり、当初の給与が下がる場合もあります。ただし安定して働けることで、結果的に長期的な収入の安定につながるケースもあります。

ASDの転職で活用できる支援機関とエージェント

ここでは、ASDの転職で活用できる支援機関と転職エージェントを紹介します。一人で抱え込まず、相談先を上手に使うことが成功への近道です。

ワナちゃん
ワナちゃん

ハルくん、相談できる場所があるって知らなかったみたい。どこに行けばいいのかな?

ワークさん
ワークさん

無料で使える公的な窓口がたくさんあるんですよ。目的に合わせて使い分けるといいですね。

就労移行支援とハローワーク

就労移行支援は、就職に向けた訓練や職場定着のサポートを受けられる福祉サービスです。ハローワークには障害者向けの専門窓口があり、求人紹介や職業相談を無料で利用できます。

どちらも特性に配慮した支援を受けられるため、転職活動の心強い味方になります。まずは身近な窓口に相談してみましょう。

発達障害者支援センターと職業センター

発達障害者支援センターは、発達障害のある人やその家族の相談を地域で受け付ける機関です。診断の有無にかかわらず相談できる場合があります。

また、独立行政法人JEEDが運営する地域障害者職業センター(障害者の雇用支援)では、職業評価や職場適応の支援を受けられます。

障害者専門の転職エージェント

障害者専門の転職エージェントでは、特性に理解のあるキャリアアドバイザーが求人紹介や面接対策をサポートしてくれます。配慮事項を企業へ伝える役割も担ってくれます。

自分の強みの言語化が苦手な人ほど、第三者のサポートが効果を発揮します。複数の相談先を比べて、相性の良い担当者を見つけるとよいでしょう。

ASDが転職後に長く続けられる職場の選び方

ここでは、ASDの人が転職後に長く続けられる職場の選び方を解説します。入社前に確認しておくことで、ミスマッチを大きく減らせます。

業務内容と指示が明確な職場を選ぶ

ASDの人は、業務内容や指示が明確な職場で力を発揮しやすい傾向があります。手順がマニュアル化され、成果の基準がはっきりしている環境は安心して働けます。

厚生労働省の発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」でも、ASDには行動や興味の限定された反復的な様式が見られると説明されています。決まった進め方の業務との相性は良いといえます。

変化や突発対応が少ない環境を選ぶ

予定の変更や突発的な対応が多い職場は、ASDの人にとって負担になりやすい環境です。マルチタスクや臨機応変な対応が続くと、消耗しやすくなります。

一つの業務に集中して取り組める職場や、スケジュールが安定している職場を選ぶと、無理なく働き続けやすくなります。

面接で配慮事項を確認しておく

特性を開示する場合は、面接の時点で求めたい配慮を具体的に伝えておきましょう。入社後のギャップを防ぎ、働き続けやすさにつながります。

就職活動全体の進め方をあらためて確認したい人は、以下の記事も参考にしてください。

自閉症の就職を成功させる進め方とコツを解説する記事のアイキャッチ画像 自閉症の就職を成功させる進め方とコツを解説

ASDの就労についてさらに知りたい人は、ASDの仕事や就職についてまとめたカテゴリもあわせてご覧ください。

ASDの転職に関するよくある質問

ここでは、ASDの転職についてよく寄せられる質問に答えます。気になる点を解消して、転職活動を進める参考にしてください。

ASDだと転職を繰り返しやすいですか?
環境とのミスマッチが原因のことが多く、特性に合う職場を選べば長く働ける可能性は十分にあります。
転職で特性は開示したほうがいいですか?
開示すると配慮を得やすい一方、求人は限られます。働きやすさを軸に自分に合う方針を選びましょう。
在職中でも転職活動はできますか?
可能です。体調と相談先を整えたうえで、特性や条件の整理から少しずつ進めると無理なく取り組めます。
診断がなくても支援は受けられますか?
発達障害者支援センターなどでは、診断前でも相談できる場合があります。まずは窓口に問い合わせてみましょう。

まとめ

ASDの転職は、環境とのミスマッチや人間関係の負担がきっかけになりやすい一方、進め方を工夫すれば長く続く職場へ移ることは十分可能です。給与や知名度だけで決めず、自分の特性を整理し、一人で抱え込まないことが失敗を防ぐコツになります。体調を整え、特性と条件を整理し、雇用形態や開示の方針を決め、書類と面接を対策し、転職後も支援を続ける流れで進めましょう。障害者雇用への切り替えや支援機関・エージェントの活用も、安定して働き続けるための有力な選択肢です。

ワークさん
ワークさん

まずは自分の特性を整理することから始めてみてくださいね。不調が続くときは、必ず医療機関にご相談くださいね。

この記事の監修者

ワナワーク編集部

ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。

本記事の免責事項

本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。