ASDは後天性になる?先天性との違いを解説

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「大人になってからASDになることはあるの?」と気になっていませんか?結論から言うと、ASDは生まれつきの特性であり、後天的に発症するものではありません。

ワナちゃん
ワナちゃん

友達のハルくん、社会人になってからASDって言われたんだって。それって大人になって後天的になったってこと?って不思議がってたなあ。

この記事では、ASDが後天性ではなく先天的な特性であること、大人になって気づく・診断される理由、後天的な脳の病気との違いまでを一次情報をもとに整理します。

ASDは後天性ではなく生まれつきの特性

まず結論からお伝えします。ここでは、ASDが後天性ではなく先天的な特性であること、そしてその医学的な整理を最初に押さえていきます。

ASDは生まれつきの脳機能の特性で後天性ではない

ASD(自閉スペクトラム症)は、生まれつきの脳機能の特性によるものと考えられており、大人になってから後天的に発症するものではありません。

大塚製薬のすまいるナビゲーター「自閉スペクトラム症とは」でも、その原因は完全には解明されていないものの、生まれつきの脳機能の特性によるものと考えられていると解説されています。

つまり、ある日を境に「ASDになる」のではなく、特性そのものは生まれたときから備わっているという整理です。後から身につく性格や、環境で生まれる病気とは性質が異なります。

育て方や本人の努力不足が原因ではない

ASDは先天的な特性のため、親の育て方やしつけ、本人の努力不足が原因でなるものではありません。後天性という誤解は、こうした自責の念につながりやすい点に注意が必要です。

前述のすまいるナビゲーターでも、これまでの多くの研究から、親の育て方やしつけが原因ではないことが分かっていると明記されています。発達障害情報・支援センターの「自閉スペクトラム症」の解説でも、複数の遺伝的要因などが関係し、子育ての結果によるものではないと説明されています。

原因を誰かのせいにする必要はありません。大切なのは、特性を理解し、無理なく過ごせる環境を整えていく視点です。

自閉症やアスペルガーもASDに含まれる

かつて使われていた「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」は、現在ではASD(自閉スペクトラム症)という1つの連続体としてまとめて扱われています。

呼び名が複数あるため混乱しやすいですが、いずれも生まれつきの特性という点は共通です。用語の整理を詳しく知りたい人は、以下の記事も参考になります。

自閉症スペクトラムと自閉症の違いを整理したアイキャッチ画像 自閉症スペクトラムと自閉症の違いを解説|用語を整理
ワナちゃん
ワナちゃん

生まれつきなのに、なんでハルくんは大人になるまで気づかなかったんだろう?子どものころは普通だったって言ってたのに…。

ワークさん
ワークさん

いい質問ですね。特性は生まれつきでも、それが目立つかどうかは環境しだいなんですよ。次の章で詳しく見ていきましょう。

ASDが後天性と誤解される理由

ここでは、生まれつきの特性であるASDが、なぜ「後天性ではないか」と感じられるのか、その理由を3つの観点から整理します。

大人になって初めて特性が目立つことがあるため

ASDの特性は子どものころからありますが、学校や家庭では大きな問題にならず、見過ごされるケースがあります。後天性に見える背景には、この気づきの遅れが関係しています。

社会人になると、複雑な人間関係や臨機応変な対応が求められる場面が一気に増えます。その結果、それまで目立たなかった特性が困りごととして表面化しやすくなります。

武田薬品の大人の発達障害ナビ「自閉スペクトラム症(ASD)とは」でも、診断には発達早期から特性が存在していることが基準とされており、大人で気づいても特性自体は早期からあったと整理できます。

環境の変化で特性が強く出たように感じるため

転職や異動、結婚や引っ越しなど、生活環境が大きく変わると、これまで保てていたバランスが崩れることがあります。これが後天的に変化したように感じる一因です。

負荷の高い環境ではミスや疲れが増え、特性が以前より強く出たように見えることがあります。ただし、これは特性が新しく生まれたのではなく、環境との相性が変わった結果です。

おさえておきたいこと

「特性が強くなった」と感じても、それは多くの場合、特性が生まれたのではなく、環境の負荷が増えて目立っただけと考えられます。

発達障害への社会的な認知が広がったため

近年は発達障害に関する情報が広く知られるようになり、これまで見過ごされてきた人が「自分もそうかもしれない」と気づきやすくなりました。

その結果、大人になってから診断を受ける人が増えています。これは後天的にASDが増えているのではなく、もともとあった特性に気づける人が増えたためと考えられます。大人で気づく文脈をより詳しく知りたい人は、以下の記事も参考になります。

大人の自閉症(ASD)とは|特徴・診断・困りごとを解説のアイキャッチ画像 大人の自閉症(ASD)とは|特徴・診断・困りごとを解説

ASDと後天的な脳の病気・状態との違い

ここでは、生まれつきの特性であるASDと、後天的に生じる脳の病気や心の状態がどう違うのかを整理します。混同しやすいポイントを順に見ていきましょう。

先天性のASDと後天性の状態の違いを整理

ASDは生まれつきの特性ですが、事故や病気で後から脳の働きが変わる状態は別物です。下の表で大まかな違いを整理します。

項目ASD(自閉スペクトラム症)後天的な脳の状態
始まり生まれつき事故・病気などの後から
主な背景遺伝的要因など脳の損傷・強いストレス等
特性の現れ発達早期から原因となる出来事の後から

このように、ASDは出発点が生まれつきである点が大きな特徴です。後天的な状態は、原因となる出来事をきっかけに変化が始まる点で性質が異なります。

高次脳機能障害は後天的な脳の損傷で起こる

高次脳機能障害は、事故による頭部のケガや脳卒中などで脳が損傷し、記憶や注意などに困難が生じる状態です。ASDとは異なり、原因がはっきりした後天的な状態です。

記憶や段取りの苦手さなど、見え方が一部似て感じられることもあります。ただし、生まれつきのASDと、後から脳の損傷で生じる状態は成り立ちが違うため、区別して理解することが大切です。

うつ病など後天的な不調はASDと別物

強いストレスをきっかけに、うつ病や不安障害などの不調が後天的に生じることがあります。これらはASDそのものではなく、別に生じる心の不調です。

ASDの特性による困りごとが続くと、二次的にうつ症状などが現れることもあります。気分の落ち込みや不眠が続く場合は、無理をせず医療機関に相談することがすすめられます。

こんなときは相談を

強い気分の落ち込みや眠れない状態が続くときは、自己判断せず、医療機関や専門の相談窓口に相談してくださいね。

ASDの特性とうまく付き合う考え方

ここでは、ASDが後天性かどうかにとらわれすぎず、特性とうまく付き合っていくための考え方を紹介します。働きやすさにもつながる視点です。

ワナちゃん
ワナちゃん

後天性じゃないってわかっても、ハルくんはこれからどうしたらいいのか不安みたい。何から始めたらいいのかな?

ワークさん
ワークさん

原因探しより、自分の特性を知って環境を整えるのが近道なんですよ。相談できる窓口も一緒に押さえておきましょうね。

原因探しより特性の理解に目を向ける

「後天性かどうか」「誰のせいか」を突き詰めても、今の困りごとが軽くなるわけではありません。まずは自分の得意・苦手を知ることが出発点になります。

苦手な場面が分かれば、避ける工夫や周囲への伝え方を考えやすくなります。ASDの苦手なことを場面ごとに整理したい人は、以下の記事も参考になります。

ASDが苦手なこと7選|理由と仕事での対処法を解説のアイキャッチ画像 ASDが苦手なこと7選|理由と仕事での対処法を解説

自分に合う環境を選んで負荷を減らす

特性は生まれつきでも、どんな環境で働くかは選べます。自分に合う環境を選ぶことで、特性による困りごとは大きく軽くできます。

たとえば、静かな環境や予定が安定した仕事は、ASDの特性がある人にとって働きやすい場合があります。ASDの特性を活かせる仕事を知りたい人は、以下の記事も参考になります。

ASDに向いてる仕事10選|特性別の適職を解説のアイキャッチ画像 ASDに向いてる仕事10選|特性別の適職を解説

気になるときは専門の相談先を活用する

困りごとが大きいと感じるときは、一人で抱え込まず専門の相談先を頼ることがすすめられます。診断の有無にかかわらず相談できる窓口もあります。

各地域の発達障害者支援センターや、ハローワークの専門援助窓口では、就労や生活の相談に対応しています。発達障害のある人の働き方や就労支援について全体像を知りたい人は、ASDの仕事についてまとめた記事も参考にしてみてください。

ASDの後天性に関するよくある質問

ここでは、ASDの後天性に関して多く寄せられる疑問に、一次情報をもとに簡潔にお答えします。

大人になってから後天的にASDになることはありますか?
ASDは生まれつきの特性と考えられており、大人になってから後天的に発症するものではありません。大人で気づくのは、環境の変化で特性が目立ったり、診断にいたるケースが増えているためです。
親の育て方がASDの原因になりますか?
いいえ。これまでの研究から、親の育て方やしつけが原因ではないことが分かっています。ASDは生まれつきの脳機能の特性によるものと考えられています。
ストレスや環境でASDになることはありますか?
強いストレスや環境の変化でASDそのものが生じることはありません。ただし、環境の負荷で特性が目立ったり、二次的にうつなどの不調が生じることはあります。
高次脳機能障害とASDは同じものですか?
いいえ。高次脳機能障害は事故や脳卒中などで脳が損傷して起こる後天的な状態です。生まれつきの特性であるASDとは成り立ちが異なります。

まとめ

ASDは生まれつきの脳機能の特性によるものと考えられており、大人になってから後天的に発症するものではありません。親の育て方や本人の努力不足が原因でもありません。後天性に見える背景には、大人になって特性が目立つ・環境の変化で困りごとが増える・社会的な認知が広がったことなどがあります。事故や脳卒中で起こる高次脳機能障害や、ストレスで生じるうつ病などの後天的な状態とは性質が異なります。原因探しよりも、自分の特性を理解し、合う環境を選ぶ視点が大切です。

ワークさん
ワークさん

後天性かどうかより、まずは自分の特性を知ることから始めてみてくださいね。診断や治療が必要なときは、医療機関に相談してくださいね。

この記事の監修者

ワナワーク編集部

ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。

本記事の免責事項

本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。