ASDの完璧主義|0か100をゆるめる対処法を解説

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「ASDだから完璧にしないと気が済まない」「0か100でしか考えられず疲れる」と感じていませんか?特性を理解すれば、力を抜きながら働く工夫は十分に見つかります。

ワナちゃん
ワナちゃん

友達のハルくん、ASDで細かいとこまで完璧にしないと気が済まないらしくてさ。いつも仕事が終わらなくて疲れてるんだって。

この記事では、ASDで完璧主義になりやすい背景、仕事や生活での困りごと、力を抜くための具体的な工夫と相談先までをわかりやすく解説します。

ASDの完璧主義とは|こだわりや白黒思考との関係

ここでは、ASDの完璧主義がどのようなものか、特性とどう結びつくのかを解説します。背景を知ることで、自分を責めずに対策を立てやすくなります。

ASDの完璧主義の特徴

ASDの完璧主義は、細部まで妥協せず仕上げたい気持ちが強く表れる傾向があります。「少しのミスも許せない」「中途半端な状態が落ち着かない」と感じる人は少なくありません。

完璧主義そのものは悪いものではなく、丁寧さや責任感の強さという側面も持っています。ただ、その力が強く働きすぎると、本人が苦しくなってしまう場合があります。

こだわりの強さが完璧主義につながる背景

ASDには「限定した常同的な興味、行動および活動」という特性があるとされています。これは国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センター「各障害の定義」でも示されています。

このこだわりの強さが、仕事では「決めた手順を最後まで守りたい」「細部まで正確に仕上げたい」という形で表れます。こだわりが品質の高さにつながる一方で、完璧を求めすぎて時間がかかる原因にもなりやすいのです。

白黒思考(0か100)と完璧主義の関係

ASDでは、物事を「白か黒か」「0か100か」のように極端に捉える白黒思考が見られることがあります。この考え方が、完璧主義を強める一因になると考えられています。

名古屋大学の研究では、自閉スペクトラム傾向と「0か100か」思考の関係について、不確実さへの耐えにくさを介して二分的な思考が生じやすい可能性が示されました。「100点でなければ0点と同じ」と感じると、完璧でない自分を責めやすくなります。

白黒思考そのものについて詳しく知りたい人は、以下の記事も参考になります。

アスペルガーの認知の歪みと白黒思考の対処法を解説する記事のアイキャッチ画像 アスペルガーの認知の歪みとは|白黒思考の対処法を解説

ASDの完璧主義が仕事で引き起こす困りごと

ワナちゃん
ワナちゃん

ハルくん、完璧にしようとして残業ばっかりらしいんだ。完璧主義って具体的にどんな困りごとにつながるのかな?

ワークさん
ワークさん

時間の超過や抱え込みが代表的ですね。ここでは仕事で起きやすい困りごとを整理してみましょう。背景がわかれば対策も立てやすいですよ。

一つの作業に時間をかけすぎる

完璧を求めるあまり、一つの作業に必要以上の時間をかけてしまうことがあります。細部の確認を何度も繰り返し、締め切りに間に合わなくなる場合もあります。

「もう少し良くできるはず」という気持ちが、作業の終わりを決めにくくしてしまうのです。結果として残業が増え、心身の負担が大きくなる傾向があります。仕事全体の進み方に影響が出ることも少なくありません。

仕事を一人で抱え込みやすい

「自分の基準どおりに仕上げたい」という思いから、人に頼ることが難しくなる場合があります。仕事を任せたり相談したりすることをためらい、一人で抱え込みやすくなります。

抱え込みが続くと作業量が増え、疲れがたまりやすくなります。完璧を求める気持ちが、周囲との分担を妨げてしまうことがあるのです。その結果、本人だけに負担が集中しやすくなります。

ミスを恐れて行動に移しにくい

失敗を強く恐れると、作業を始めること自体をためらってしまう場合があります。「完璧な準備が整うまで動けない」と感じ、先延ばしにつながることがあります。

動き出せない時間が長くなると、焦りや自己否定が生まれやすくなります。仕事ができないと感じてしまう背景には、こうした完璧主義が関わっている場合があります。関連する内容は以下の記事でも解説しています。

ASDで仕事ができないと感じる理由と対処法を解説のアイキャッチ画像 ASDで仕事ができないと感じる理由と対処法を解説

理想と現実のギャップでストレスを感じやすい

高い理想を持つほど、達成できなかったときのギャップが大きくなります。「これだけやったのにまだ足りない」と感じ、強いストレスを抱えやすくなります。

ストレスが積み重なると、気分の落ち込みや疲労につながる場合があります。無理を続けると二次的な不調が生じることもあるため、早めの対処が大切です。職場でつらさが続く場合の対処は、ASDの苦手なことを整理した記事も参考になります。

ASDが苦手なこと7選|理由と仕事での対処法を解説のアイキャッチ画像 ASDが苦手なこと7選|理由と仕事での対処法を解説

ASDの完璧主義をゆるめる対処法

ワークさん
ワークさん

完璧主義は無理に直すものではなく、力の入れどころを調整するイメージですよ。ここでは今日から試せる工夫を紹介しますね。

完成の基準をあらかじめ決めておく

作業を始める前に「どこまでできたら完成とするか」を決めておく方法があります。終わりの基準が明確だと、際限なく手を加え続けることを防ぎやすくなります。

「100点ではなく、まずは70点で完了させる」という考え方も役立ちます。基準を数字や項目で見える化しておくと、白黒思考が強い人でも判断しやすくなります。上司と完成の目安を共有しておくのもおすすめです。

できたことを加点方式で振り返る

完璧主義が強いと、できなかった部分にばかり目が向きがちです。そこで、できたことを数える加点方式に切り替える方法があります。

一日の終わりに「今日できたこと」を一つでも書き出してみましょう。減点ではなく加点で振り返ると、自分を責めにくくなります。小さな達成を積み重ねる感覚が、心の負担をやわらげてくれます。

タスクを小分けにして優先順位をつける

大きな仕事をそのまま抱えると、すべてを完璧にしようとして負担が増えます。タスクを小さく分け、優先順位をつけて進める方法が役立ちます。

優先順位をつけるコツ
  • 締め切りの近いものから順に並べる
  • 「完璧にする作業」と「最低限でよい作業」を分ける
  • 納期と完成度をTODOリストで見える化する

ルールを守る力が強い特性を活かし、決めた手順に沿って一つずつ進めると取り組みやすくなります。

信頼できる人や支援機関に相談する

完璧主義による疲れを一人で抱え込まず、周囲に相談することも大切です。家族や同僚、上司に状況を伝えるだけでも、負担が軽くなる場合があります。

就労に関する悩みは、就労移行支援事業所や発達障害者支援センターなどの専門機関に相談できます。客観的な視点をもらうことで、自分では気づきにくい工夫が見つかることもあります。

気分の落ち込みが続くときは

強い気分の落ち込みや眠れない状態が続く場合は、無理をせず医療機関にご相談ください。

ASDの完璧主義を強みとして活かす方法

ここでは、ASDの完璧主義を弱点ではなく強みとして活かす考え方を解説します。特性に合う環境を選べば、丁寧さや正確さが評価につながります。

完璧主義をリフレーミングして捉え直す

同じ特性でも、捉え方を変えると見え方が変わります。「細部へのこだわり」は「丁寧さ」、「妥協しない姿勢」は「高い基準を保つ力」と言い換えられます。

こうしたリフレーミングをすると、自分の特性を前向きに受け止めやすくなります。完璧主義は、活かす場面を選べば大きな武器になります。苦手な面だけでなく、得意な面にも目を向けてみましょう。

正確さや丁寧さが評価される仕事を選ぶ

完璧主義は、品質や正確さが重視される仕事で力を発揮しやすい傾向があります。スピードよりも精度が求められる環境では、丁寧な仕事ぶりが評価されます。

明確なルールや手順が定められた職場も、こだわりの強い人にとって取り組みやすい場合があります。自分の特性に合う仕事を探したい人は、ASDに向いてる仕事をまとめた記事も参考にしてください。

ASDに向いてる仕事10選|特性別の適職を解説のアイキャッチ画像 ASDに向いてる仕事10選|特性別の適職を解説

ASDの基礎から特性を理解しておく

完璧主義への対策を進めるうえで、ASDの特性全体を知っておくと役立ちます。自分の傾向を理解すると、無理のない働き方を選びやすくなります。

ASD(アスペルガー症候群を含む自閉スペクトラム症)の特徴や診断について基礎から知りたい人は、以下の記事も参考になります。

アスペルガー症候群とは|特徴・診断・大人の困りごとを解説のアイキャッチ画像 アスペルガー症候群とは|特徴・診断・大人の困りごとを解説

また、ASD全般の働き方や就職については、ASDの就職・仕事についてまとめたカテゴリもあわせてご覧ください。

ASDの完璧主義に関するよくある質問

ここでは、ASDの完璧主義についてよく寄せられる質問にお答えします。気になる点の解消にお役立てください。

ASDの人はなぜ完璧主義になりやすいのですか?
細部へのこだわりや白黒思考といった特性が関わると考えられています。完璧でない状態を受け入れにくく、強く完璧を求める傾向が見られる場合があります。
完璧主義は無理に直したほうがよいですか?
完璧主義は丁寧さや責任感という強みにもなります。直すというより、力の入れどころを調整し、強みを活かせる場面を選ぶ考え方が役立ちます。
完璧主義で仕事が終わらないときはどうすればよいですか?
完成の基準を先に決めておく方法が役立ちます。「70点で完了」と区切ったり、上司と完成の目安を共有したりすると、際限なく手を加えることを防ぎやすくなります。
完璧主義で疲れたときの相談先はありますか?
就労移行支援事業所や発達障害者支援センターなどに相談できます。気分の落ち込みが続く場合は、医療機関への相談も選択肢の一つです。

まとめ

ASDの完璧主義は、細部へのこだわりや白黒思考といった特性と結びついて表れる傾向があります。仕事では時間の超過や抱え込み、先延ばし、理想と現実のギャップによるストレスといった困りごとにつながる場合があります。一方で、完成の基準を先に決める、加点方式で振り返る、タスクを小分けにする、相談先を持つといった工夫で、力を抜きながら働くことは十分に可能です。完璧主義は丁寧さや正確さという強みでもあるため、活かせる環境を選ぶ視点も大切にしてみてください。

ワークさん
ワークさん

まずは完成の基準を一つ決めることから始めてみてくださいね。つらさが続くときは、無理せず専門機関や医療機関に相談してみてください。

この記事の監修者

ワナワーク編集部

ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。

本記事の免責事項

本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。