アスペルガーの認知の歪みとは|白黒思考の対処法を解説

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「いつも0か100で考えてしまう」「一度の失敗で全部だめだと感じる」と悩んでいませんか?こうした思考のクセは認知の歪みと呼ばれ、アスペルガー(ASD)の特性と関係する場合があります。

ワナちゃん
ワナちゃん

友達のハルくん、アスペルガーで「白か黒か」で決めつけちゃうんだって。仕事で悩んでるみたいで心配だなあ。

この記事では、アスペルガーに見られる認知の歪みのパターン、ASD特性との関係、日常や仕事への影響、整え方や相談先までをやさしく解説します。

アスペルガーの認知の歪みとは

ここでは、認知の歪みという考え方の基本と、アスペルガー(ASD)の特性とどう関わるのかを整理します。まずは言葉の意味から押さえていきましょう。

認知の歪みとは考え方のクセのこと

認知の歪みとは、出来事を受け取るときに生じる偏った考え方のクセを指します。同じ出来事でも、人によって受け取り方は大きく変わります。

たとえば一度のミスを「自分は何をやってもだめだ」と感じてしまうのは、認知の歪みの一例です。歪み自体は誰にでも起こり得るもので、特別なことではありません。

ただし、歪みが強く繰り返されると、気分の落ち込みや人間関係のすれ違いにつながりやすくなります。まずは「自分にもクセがあるかも」と気づくことが第一歩です。

アスペルガーとASD・自閉スペクトラム症の関係

アスペルガー症候群は、現在の診断基準ではASD(自閉スペクトラム症)という大きな分類に含まれています。かつて使われていた診断名のひとつです。

国立障害者リハビリテーションセンターの発達障害情報・支援センター「各障害の定義」では、自閉症の特性として対人関係やコミュニケーションの難しさ、限定した興味やこだわりが挙げられています。

こうしたASDの特性が、後述する認知の歪みの起こりやすさと関わると考えられています。診断名の整理について詳しく知りたい人は、以下の記事も参考になります。

アスペルガー症候群とは|特徴・診断・大人の困りごとを解説のアイキャッチ画像 アスペルガー症候群とは|特徴・診断・大人の困りごとを解説

認知の歪みは病気ではなく傾向のひとつ

認知の歪みは病気の名前ではなく、考え方のかたよりを表す言葉です。ASDの特性があるからといって、必ず認知の歪みが強くなるわけではありません。

傾向には個人差が大きいため、自分に当てはまるものとそうでないものを切り分けて見ていくことが大切です。

用語のメモ

「認知」とは、出来事の受け取り方や解釈のことです。その受け取り方がかたよっている状態を「認知の歪み」と呼びます。

アスペルガーに見られる認知の歪みのパターン

ここでは、アスペルガー(ASD)の人に見られやすい認知の歪みの代表的なパターンを紹介します。当てはまるものがないか、ゆっくり確認してみてください。

ワナちゃん
ワナちゃん

認知の歪みって、いろんな種類があるんだね。ハルくんはどのタイプなのかな?

ワークさん
ワークさん

一人でいくつも当てはまることも多いんですよ。まずは自分のクセを知ることが大切なんです。

白黒思考(全か無か思考)

白黒思考とは、物事を「成功か失敗か」「白か黒か」の両極端でとらえる考え方です。中間のグレーな状態を受け入れにくい傾向があります。

たとえば「100点でなければ意味がない」と感じ、80点の成果でも失敗だと受け取ってしまうことがあります。アスペルガーの人に比較的多く見られるパターンです。

あいまいさが苦手な特性とつながりやすく、白黒つけることで安心したい気持ちが背景にあると考えられています。

過度の一般化

過度の一般化とは、一度の出来事をすべてに当てはめてしまう考え方です。「いつも」「絶対」「みんな」といった言葉が口ぐせになりやすいのが特徴です。

一度注意されただけで「自分はいつも怒られてばかりだ」と感じたり、一人の苦手な相手を見て「この職場の人はみんな冷たい」と決めつけたりします。

事実は一部であっても、それが全体であるかのように受け取ってしまうため、必要以上に落ち込みやすくなる傾向があります。

べき思考

べき思考とは、「〜すべき」「〜でなければならない」という強いルールで自分や他人をしばる考え方です。こだわりの強さと結びつきやすいパターンです。

ルールを守ること自体は悪いことではありません。ただし、現実がルール通りにいかないと強いストレスを感じ、自分を責めたり相手に不満を抱えたりしやすくなります。

「こうあるべき」が多すぎると、柔軟な対応が難しくなり、職場での息苦しさにつながることもあります。

心の読みすぎと否定的な予測

心の読みすぎとは、相手の気持ちを根拠なくマイナスに想像してしまう考え方です。「きっと嫌われている」と感じてしまうことがあります。

否定的な予測は、まだ起きていない出来事を「どうせ失敗する」と決めつける考え方です。不安が先に立ち、行動をためらう原因になります。

ASDの人は相手の表情や言外の意味を読み取りにくい場合があり、その不確実さが否定的な想像につながりやすいと考えられています。

アスペルガーの認知の歪みが起こりやすい理由

ここでは、なぜアスペルガー(ASD)の特性が認知の歪みと結びつきやすいのか、その背景を3つの視点から解説します。

あいまいな状況が苦手なため

ASDの特性として、あいまいではっきりしない状況に不安を感じやすい傾向があります。先が見えない状態は落ち着かないものです。

そのため、物事を白か黒かにはっきり分けることで安心しようとする働きが生まれやすくなります。これが白黒思考の背景のひとつと考えられています。

あいまいさを減らす工夫が、結果として極端な受け取り方を強めてしまう場合があるのです。

こだわりの強さがあるため

ASDには、自分のルールや手順への強いこだわりという特性があります。こだわりは集中力や正確さという強みにもなります。

一方で、こだわりが「べき思考」と結びつくと、「こうあるべき」という枠を自分や周囲に強くあてはめてしまうことがあります。

ルールから外れる出来事に直面したとき、柔軟に切り替えにくく、ストレスを感じやすくなる傾向があります。

二次障害として歪みが強まる場合があるため

失敗や叱責が積み重なると、自信を失い、否定的な考え方のクセが強まることがあります。これは二次的な落ち込みとして表れる場合があります。

「どうせまた失敗する」という否定的な予測が増えると、行動が減り、さらに自己評価が下がるという悪循環に入りやすくなります。

注意ポイント

強い気分の落ち込みや不眠が続く場合は、認知の歪みだけの問題とは限りません。早めに医療機関や専門の相談窓口にご相談ください。

アスペルガーの認知の歪みが日常や仕事に与える影響

ここでは、認知の歪みが日常生活や職場でどのような困りごとにつながりやすいのかを見ていきます。具体的な場面を知っておくと対処しやすくなります。

ワークさん
ワークさん

困りごとの多くは、考え方のクセと環境のミスマッチから生まれるんですよ。場面ごとに見ていきましょう。

職場の人間関係でのトラブル

べき思考が強いと、自分のルールと違う進め方をする同僚に強い不満を感じやすくなります。意見の食い違いが対立に発展することもあります。

また、心の読みすぎによって「嫌われている」と思い込み、必要な相談を控えてしまうこともあります。すれ違いの多くは事実確認で防げる場合があります。

コミュニケーションの困りごとについて詳しく知りたい人は、以下の記事も参考になります。

ASDのコミュニケーション特性とすれ違いを解説のアイキャッチ画像 ASDのコミュニケーション特性とすれ違いを解説

失敗への過剰な落ち込み

白黒思考があると、小さなミスでも「全部だめだった」と受け取り、必要以上に落ち込みやすくなります。一度の失敗を引きずる原因にもなります。

過度の一般化が重なると、「自分はいつも失敗する」という思い込みが強まり、新しい挑戦をためらうようになることがあります。

このような落ち込みが長く続くと、反芻思考(同じ悩みを繰り返し考えること)につながる場合があります。

アスペルガー(ASD)の反芻思考が止まらない理由と対処法の記事アイキャッチ アスペルガーの反芻思考が止まらない理由と対処法

完璧主義による疲れやすさ

白黒思考とべき思考が合わさると、「完璧でなければ意味がない」という完璧主義につながりやすくなります。手を抜くことが難しく感じられます。

常に全力で取り組もうとするため、心身が疲れやすくなり、長く働き続けるうえで負担になることがあります。「8割でよしとする」感覚を意識的に持つことが大切です。

アスペルガーの認知の歪みを整える方法

ここでは、認知の歪みとうまく付き合うための整え方を紹介します。すぐに変えようと焦らず、できそうなものから少しずつ試してみてください。

ワナちゃん
ワナちゃん

考え方のクセって、自分で整えていけるものなのかな?ハルくんにも教えてあげたいなあ。

ワークさん
ワークさん

クセは少しずつ和らげることができますよ。一人で抱えず、専門家の力を借りるのもおすすめです。

考えを紙に書き出して客観視する

頭の中だけで考えていると、歪みに気づきにくいものです。そこで、出来事と、そのとき浮かんだ考えを紙に書き出す方法が役立ちます。

書き出すことで、自分の考えを一歩引いて眺められます。「これは白黒思考かもしれない」と気づけると、受け取り方を選び直す余地が生まれます。

次のような項目をメモしておくと整理しやすくなります。

  • どんな出来事があったか
  • そのとき浮かんだ考え
  • 感じた気持ちと強さ
  • 別の見方ができないか

事実と解釈を分けて考える

認知の歪みは、事実と自分の解釈が混ざることで強まります。「実際に起きたこと」と「自分がそう思ったこと」を分ける練習が有効です。

たとえば「上司が無言だった」が事実で、「怒っているに違いない」は解釈です。事実だけを取り出すと、思い込みに気づきやすくなります。

分からないことは想像で埋めず、本人に確認するという習慣も、すれ違いを減らすうえで役立ちます。

認知行動療法という選択肢を知る

認知行動療法(CBT)は、考え方や受け取り方に働きかけて、気分や行動を整えていく心理療法のひとつです。厚生労働省のこころの耳「認知行動療法:用語解説」でも紹介されています。

もともとはうつ病の治療法として開発され、現在はさまざまな悩みのセルフケアにも応用されています。効果や向き不向きには個人差があります。

取り入れたい場合は、自己流で進めるより、医療機関や専門家に相談しながら進めることが望ましい方法です。

自分を責めすぎず休む時間を持つ

疲れているときほど、否定的な考え方のクセは強まりやすくなります。まずは十分に休み、心身を整えることが土台になります。

考え方をすぐに変えられなくても、自分を責める必要はありません。「気づけただけで前進」と考え、小さな変化を認めていきましょう。

アスペルガーの認知の歪みについての相談先

ここでは、認知の歪みや働き方の悩みを一人で抱えないための相談先を紹介します。状況に合わせて使い分けてみてください。

医療機関(精神科・心療内科)

気分の落ち込みや不眠が続くときは、精神科や心療内科への相談が選択肢になります。診断や治療が必要かどうかは、医師が判断します。

認知行動療法を受けたい場合も、まずは医療機関に相談すると、自分に合った進め方を一緒に考えてもらえます。

発達障害者支援センター

各都道府県には、発達障害のある人や家族を支援する発達障害者支援センターがあります。診断の有無にかかわらず相談できることが多い窓口です。

特性とのつき合い方や、生活・就労の悩みなど、幅広いテーマを相談できます。詳しくは国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害情報・支援センター」を参考にしてください。

就労に関する相談窓口

仕事の悩みが中心の場合は、就労移行支援事業所やハローワークの専門援助窓口が役立ちます。特性に合った働き方を一緒に整理できます。

アスペルガーの仕事の悩みや向いてる仕事について知りたい人は、以下の記事も参考になります。

ASDが苦手なこと7選|理由と仕事での対処法を解説のアイキャッチ画像 ASDが苦手なこと7選|理由と仕事での対処法を解説

ASDの特性全体や働き方をあらためて整理したい人は、ASD・アスペルガーについてまとめたカテゴリページもあわせてご覧ください。

アスペルガーの認知の歪みに関するよくある質問

ここでは、アスペルガーの認知の歪みについて、検索されることの多い質問にお答えします。気になる項目から確認してみてください。

アスペルガーだと必ず認知の歪みがありますか?
いいえ、必ずあるわけではありません。傾向には個人差が大きく、当てはまる人もいれば、ほとんど気にならない人もいます。
白黒思考は自分で直せますか?
考えを書き出して客観視したり、事実と解釈を分ける練習で和らぐ場合があります。難しいときは専門家に相談する方法もあります。
認知行動療法はアスペルガーにも使えますか?
一般的なセルフケアや治療の選択肢として紹介されることがあります。効果や向き不向きは個人差があるため、医療機関に相談すると安心です。
認知の歪みと二次障害は関係ありますか?
失敗や叱責が重なると否定的な考え方が強まり、気分の落ち込みにつながる場合があります。早めの休息や相談が役立ちます。
仕事で認知の歪みが原因のトラブルを防ぐには?
分からないことを想像で埋めず本人に確認すること、自分のルールを少しゆるめることが役立ちます。就労の相談窓口も活用できます。

まとめ

アスペルガー(ASD)に見られる認知の歪みには、白黒思考・過度の一般化・べき思考・心の読みすぎなどがあります。あいまいさが苦手・こだわりが強いといった特性や、二次的な落ち込みが背景になることがあります。整え方としては、考えを紙に書き出して客観視する、事実と解釈を分ける、認知行動療法という選択肢を知る、十分に休むといった方法が役立ちます。一人で抱え込まず、医療機関や支援センター、就労の相談窓口を活用していきましょう。

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ワークさん
ワークさん

考え方のクセは少しずつ和らげられますよ。つらいときは無理せず、医療機関や専門の窓口に相談してみてくださいね。

この記事の監修者

ワナワーク編集部

ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。

本記事の免責事項

本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。