アスペルガーで時間感覚がない理由と対策を解説

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「時間の見積もりがいつも外れる」「気づいたら締切ギリギリ」と悩んでいませんか?アスペルガー(ASD)の特性を知れば、工夫で時間とうまく付き合えるようになります。

ワナちゃん
ワナちゃん

友達のハルくん、アスペルガーで「あと5分」がいつも30分なんだって。締切の見積もりも苦手で困ってるみたい。

この記事では、アスペルガーで時間感覚がないと言われる理由、仕事や生活での困りごと、今日からできる対策と相談先までをわかりやすく解説します。

アスペルガーで時間感覚がないとはどういう状態か

ここでは、アスペルガーで時間感覚がないと言われる状態の中身を整理します。まず特性を正しく理解することが、対策の第一歩になります。

アスペルガー(ASD)は今の診断名では自閉スペクトラム症に含まれる

かつて「アスペルガー症候群」と呼ばれた状態は、現在の診断基準では自閉スペクトラム症(ASD)に統合されています。

ASDは、対人コミュニケーションの難しさと、興味や行動のかたより・こだわりを特徴とする生まれつきの脳の発達の特性です。時間感覚のずれは、この特性に付随して表れやすい困りごとの一つと考えられています。

発達障害情報のポータルサイトでは、ASDの基本的な特性は発達障害ナビポータル「自閉スペクトラム症」で解説されています。アスペルガーという呼び名に強くこだわらず、ASDの特性として理解すると対策を考えやすくなります。

時間感覚がないのは「時間を体感的につかみにくい」状態

「時間感覚がない」とは、時間がまったくわからないという意味ではありません。時計の数字は読めても、経過した時間や残り時間を体感としてつかみにくい状態を指します。

そのため、「5分のつもりが30分たっていた」「あと少しの作業が何時間もかかった」といったずれが起こりやすくなります。本人はサボっているわけではなく、時間の流れの感じ方そのものに特性があるのです。

タイムブラインドネスという言葉でも語られる

時間を体感的につかみにくい状態は「タイムブラインドネス(時間盲)」と呼ばれることがあります。もともとADHDの文脈で語られることが多い言葉です。

ただし、ASD(アスペルガー)の人でも、見通しの立てにくさや切り替えの苦手さから、結果として時間の管理がうまくいかないことがあります。障害の種類は異なりますが、困りごとが似て見える点は知っておくと役立ちます。

用語のメモ

タイムブラインドネスは正式な診断名ではなく、時間の経過を感覚的につかみにくい状態を表す通称です。

ワナちゃん
ワナちゃん

ハルくん、なんで時間の見積もりがそんなにずれちゃうのかな?本人もすごく気にしてるみたいなんだ。

ワークさん
ワークさん

いくつか理由が重なっているんですよ。次の章で、時間感覚がずれやすい背景をひとつずつ見ていきましょうね。

アスペルガーで時間感覚がない理由

ここでは、アスペルガーで時間感覚がないと言われる背景を解説します。原因は一つではなく、複数の特性が重なって起こると考えられています。

先の見通しを立てるのが苦手だから

ASDの特性として、まだ起きていないことを頭の中で思い描く「見通しを立てる力」に苦手さが見られることがあります。

そのため、「この作業を終えるのにどのくらいかかるか」を前もってイメージしにくく、時間の見積もりがずれやすくなります。見通しの立てにくさが、時間管理のつまずきの根っこにあることが多いのです。

こだわりや過集中で時間を忘れやすいから

ASDの人は、興味のあることに深く没頭しやすい傾向があります。発達障害ナビポータルでも、特定の対象に強く集中する特性が挙げられています。

一つの作業に集中すると、まわりや時計が目に入らなくなり、気づいたら何時間も経っていることがあります。集中力は大きな強みですが、時間を忘れやすいという面もあわせ持っているのです。

予定の変化やあいまいな指示が苦手だから

ASDの人は、急な予定変更や段取りの変化に強いストレスを感じやすい傾向があります。国立障害者リハビリテーションセンター「各障害の定義」でも、自閉症の特徴として常同的なこだわりが挙げられています。

「だいたいで」「適当な時間に」といったあいまいな指示も、行動に移しにくい原因になります。具体的な時刻や手順が示されないと、いつ何をすればよいか判断しづらくなるのです。

時間という抽象的な概念をイメージしにくいから

時間は目に見えず、「数字」「針の動き」「流れ」など複数の要素が抽象的に組み合わさった概念です。

ASDの人は、目に見えないものや抽象的な概念を頭の中で扱うことに苦手さがある場合があります。そのため、時間を目に見える形に変える工夫が、対策のカギになります。具体的な方法は後の章でくわしく紹介します。

アスペルガーで時間感覚がないと起こりやすい困りごと

ここでは、時間感覚のずれによって仕事や生活で起こりやすい困りごとを整理します。「自分のことかも」と思い当たる場面があるかもしれません。

遅刻が増えてだらしないと誤解される

出かける準備にかかる時間を読み違え、約束や始業に間に合わないことが起こりやすくなります。

本人は努力しているのに、まわりからは「やる気がない」「だらしない」と誤解されてしまうことがあります。遅刻は性格ではなく特性が背景にある場合があるという理解が、本人にも周囲にも大切です。

締切に間に合わず仕事の評価が下がる

作業にかかる時間を短く見積もりすぎて、締切の直前にあわてることがあります。完成度にこだわるあまり、提出が遅れてしまうこともあります。

納期の遅れが続くと、仕事の評価が下がりやすくなります。質の高い仕事ができても、時間管理でつまずくと正当に評価されにくくなるのは、本人にとってつらい場面です。

予定の管理ができず生活リズムが乱れる

夜にやりたいことに没頭して就寝が遅れたり、食事や休憩の時間を忘れたりして、生活リズムが乱れやすくなります。

睡眠や食事のリズムが崩れると、日中の集中力や体調にも影響します。生活全体のリズムを整えることが、時間感覚の困りごとをやわらげる土台になります。

切り替えに時間がかかり予定が後ろ倒しになる

一つの作業から次の作業へ気持ちを切り替えるのに時間がかかり、その分だけ予定が後ろにずれていくことがあります。

小さな後ろ倒しが積み重なると、一日全体の予定が大きく崩れてしまいます。切り替えのタイミングをあらかじめ決めておくと、ずれを小さくしやすくなります。

ワナちゃん
ワナちゃん

困りごと、けっこう多いんだね…。ハルくんもこのままじゃ仕事がしんどそう。何かいい対策ってないのかな?

ワークさん
ワークさん

大丈夫ですよ。時間を「見える化」する工夫で、ぐっとラクになります。次の章で具体的に紹介しますね。

アスペルガーで時間感覚がない人が今日からできる対策

ここでは、時間感覚がない悩みをやわらげる具体的な工夫を紹介します。共通するのは「時間を目に見える形にする」という考え方です。

残り時間を可視化するタイマーを使う

残り時間が色や面積で減っていく「視覚タイマー」を使うと、時間の経過が目で見てわかります。

数字を読むのが苦手でも、「色が減ってきたから急ごう」と直感的に判断しやすくなります。時間を体感に頼らず、目に見える形に置きかえるのが基本の工夫です。

作業の所要時間を記録して見積もりに使う

同じ作業に実際どれくらいかかったかを記録しておくと、次回からの見積もりがぐっと正確になります。

「メール返信は15分」のように自分の実測データを集めるのがコツです。頭の中の感覚ではなく、記録という事実をもとに予定を立てられるようになります。

予定にあらかじめバッファ時間を入れる

見積もりがずれやすいことを前提に、予定と予定の間に「余白(バッファ)」を入れておきます。

たとえば集合時間の30分前に着く設定にしたり、作業時間を多めに見積もったりします。余白を先に確保しておくと、多少ずれても予定が崩れにくくなり、あせりも減ります。

予定とやることを文字やイラストで見える化する

「いつ・何をするか」を文字やイラストで一覧にしておくと、見通しが立ちやすくなります。やることをリスト化し、終わったら「済」と消していく方法も有効です。

頭の中だけで段取りを組むのではなく、紙やアプリに書き出して目で確認できるようにするのがポイントです。スマホのカレンダーやリマインダーも、行動の合図として役立ちます。

職場で合理的配慮を相談する

工夫だけで抱えこまず、職場に配慮を相談することも選択肢です。あいまいな指示を避け、締切やスケジュールを具体的な時刻で伝えてもらうと動きやすくなります。

こうした働きやすくするための調整は「合理的配慮」と呼ばれます。配慮の相談は、本人の能力を正当に発揮するための前向きな取り組みとして考えることが大切です。

ASDの人が仕事で感じる困りごとと働き方の工夫は、国立障害者リハビリテーションセンターの解説もあわせて参考になります。

アスペルガーで時間感覚がない悩みの相談先

ここでは、時間感覚の困りごとを一人で抱えこまないための相談先を紹介します。専門の窓口を頼ることで、自分に合った対策が見つかりやすくなります。

発達障害者支援センターに相談する

各都道府県・指定都市にある発達障害者支援センターでは、発達障害のある人やその家族の相談に応じています。

生活や仕事の困りごとを整理し、地域の支援機関につないでもらえます。診断の有無にかかわらず相談できる場合があるので、まずは身近な窓口として知っておくと安心です。

就労移行支援やハローワークの専門窓口を使う

就職や転職を考えている場合は、就労移行支援事業所やハローワークの専門援助部門が役立ちます。時間管理や仕事の進め方を、訓練を通して身につけられます。

自分に合う働き方や職場環境を一緒に考えてもらえるのも心強い点です。ASDの就職の進め方を知りたい人は、以下の記事も参考になります。

自閉症の就職を成功させる進め方とコツを解説する記事のアイキャッチ画像 自閉症の就職を成功させる進め方とコツを解説

医療機関で必要な支援を確認する

時間感覚のずれによって生活に強い支障が出ていたり、気分の落ち込みが続いたりする場合は、精神科や心療内科などの医療機関に相談しましょう。

こんなときは早めに相談を

眠れない日が続く、強い不安や落ち込みがある、仕事や生活に大きな支障が出ているときは、早めに医療機関にご相談ください。

アスペルガー(ASD)の特性そのものや大人の困りごとを総合的に知りたい人は、以下の記事もあわせてご覧ください。

アスペルガー症候群とは|特徴・診断・大人の困りごとを解説のアイキャッチ画像 アスペルガー症候群とは|特徴・診断・大人の困りごとを解説

仕事面での困りごとや、コミュニケーションのすれ違いについては、こちらの記事が参考になります。

アスペルガーが仕事で困る理由と続けるコツを解説のアイキャッチ画像 アスペルガーが仕事で困る理由と続けるコツを解説 ASDのコミュニケーション特性とすれ違いを解説のアイキャッチ画像 ASDのコミュニケーション特性とすれ違いを解説

なお、時間感覚のずれはADHDでも語られるテーマです。障害の種類は異なりますが、対策のヒントとしてADHDの時間感覚について解説した記事も役立ちます。ASD全般の働き方はASDの仕事についてまとめたカテゴリもご覧ください。

時間感覚がないアスペルガーに関するよくある質問

ここでは、時間感覚がないアスペルガーについて多く寄せられる質問にお答えします。気になる点の確認にお役立てください。

アスペルガーの時間感覚は大人になっても変わりませんか?
特性そのものは続くことが多いですが、工夫や環境調整で困りごとはやわらげられます。可視化や記録が役立ちます。
時間感覚がないのはADHDとアスペルガーのどちらですか?
どちらでも起こり得ます。障害は別ですが、見通しの立てにくさなどから時間管理に困る点は似て見えます。
時間感覚がない悩みは自分の工夫だけで対処できますか?
可視化やバッファなどの工夫で改善する場合があります。難しいときは支援機関や職場への相談も検討しましょう。
遅刻が多いのは本人の努力不足なのでしょうか?
努力不足とは限りません。時間を体感的につかみにくい特性が背景にある場合があり、仕組みでの対策が有効です。

まとめ

アスペルガー(ASD)で時間感覚がないと感じる背景には、見通しの立てにくさ、過集中、予定変化への弱さ、時間という抽象概念のつかみにくさなどがあります。遅刻や締切の遅れは、本人の努力不足ではなく特性が関係している場合があります。対策の基本は、視覚タイマーや所要時間の記録、バッファの確保、予定の見える化など、時間を目に見える形に置きかえる工夫です。一人で抱えこまず、支援機関や職場、医療機関に相談することも選択肢になります。

ワークさん
ワークさん

まずは視覚タイマーから試してみてくださいね。困りごとが続くときは、無理せず専門の窓口に相談してみましょう。

この記事の監修者

ワナワーク編集部

ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。

本記事の免責事項

本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。