「やることを忘れる」「優先順位がつけられない」など、ADHDの特性でタスク管理に悩んでいませんか?仕組みを工夫すれば、抜け漏れはぐっと減らせます。

私、ADHDなんだけど、頼まれた仕事をすぐ忘れちゃうんだよなあ…。タスク管理、何度やっても続かないんだよね。
この記事では、ADHDがタスク管理を苦手とする理由、抜け漏れを防ぐ具体的なコツ、おすすめのツールやアプリまでを当事者目線で解説します。
ADHDがタスク管理を苦手とする理由
ここでは、ADHDの人がタスク管理を難しく感じる背景を解説します。理由を知ることで、自分を責めずに合う仕組みを選べるようになります。
不注意でタスクそのものを忘れやすい
ADHDの不注意の特性があると、頼まれた用事や予定そのものを忘れてしまいやすい傾向があります。厚生労働省のこころの耳「注意欠如多動症(ADHD):用語解説」でも、注意を持続することの難しさが特徴として挙げられています。
そのため、頭の中だけでタスクを覚えておこうとすると抜け漏れが起きやすくなります。記憶に頼らず外に書き出す仕組みが、ADHDのタスク管理ではとくに役立ちます。
優先順位をつけるのが苦手
ADHDの人は、複数のタスクが並んだときにどれから手をつければよいか決めにくいことがあります。すべてが同じくらい重要に見えてしまい、結局どれも進まないという状態に陥りやすいのです。
発達障害情報のポータルサイトの「注意欠如多動性障害(ADHD)」でも、注意力に問題が生じやすい特性が説明されています。段取りを組む脳の働きも関係していると考えられています。
優先順位は頭の中で考えるより、紙やアプリ上で「見える形」にすると判断しやすくなります。
興味のあることに気が逸れやすい
作業の途中で別の気になることが目に入ると、そちらに意識が移ってしまうこともあります。気づくと当初のタスクが中断されたまま、という経験がある人も多いのではないでしょうか。
これは集中の対象が切り替わりやすい特性によるものです。今やるタスクを1つだけ見える場所に置き、それ以外を視界から減らす工夫が、脱線を防ぐ助けになります。
集中が続かないことに悩んでいる人は、以下の記事もあわせて読んでみてください。

苦手なのは努力不足ではなく特性なんですよ。だからこそ、根性より「仕組み」で補うのがおすすめです。次の章で具体策を見ていきましょう。
ADHDのタスク管理で抜け漏れを防ぐコツ
ここでは、ADHDのタスク管理で抜け漏れを減らす実践的なコツを紹介します。すべてを一度に取り入れず、合いそうなものから試すのがポイントです。
頭の中のタスクをすべて書き出す
タスク管理の第一歩は、抱えているやることをすべて外に書き出すことです。記憶に頼らず紙やアプリに移すだけで、忘れによる抜け漏れが大きく減ります。
思いついた時点ですぐメモする習慣をつけると、後から「あれ何だっけ」と悩む時間も減らせます。完璧に整理しようとせず、まずは全部出すことを優先しましょう。
タスクを小さく分解する
「資料を作る」のような大きなタスクは、着手のハードルが高く後回しになりがちです。そこで、最初の一歩を具体的な行動レベルまで小さく分けます。
- フォルダを開く
- テンプレートを開く
- 見出しだけ3つ書く
- 1項目だけ本文を書く
このように5分で終わる単位まで分けると、最初の一歩を踏み出しやすくなります。マルチタスクが苦手な人は、1つずつ片づける進め方も参考になります。
複数の作業を同時に抱えると混乱しやすい場合は、以下の記事もあわせて読んでみてください。
優先順位を見える形にする
書き出したタスクには、優先度の印をつけておくと判断に迷いません。「今日やる」「今週中」「いつか」の3段階くらいに分けるだけでも十分です。
緊急度と重要度で整理する方法もありますが、細かすぎると続きにくくなります。まずは「今日やる1〜3個」だけ決めて、それ以外は後回しにしてよいと割り切ると気持ちが楽になります。
色や付箋で視覚的に分類する
文字だけの一覧が頭に入りにくいときは、色や付箋を使うと整理しやすくなります。たとえば赤は急ぎ、青は予定、黄色はアイデア、と色分けする方法です。
付箋なら終わったものを剥がす達成感もあり、進み具合が一目で分かります。視覚から情報をとらえやすいADHDの人には、色や位置で分ける管理が向いている場合があります。
リマインダーやアラームを活用する
「忘れる前に思い出させてくれる仕組み」を外部に持つのも効果的です。スマホのリマインダーやアラームを、タスクの開始時刻に合わせて設定しておきます。
周囲の人に一声かけてもらうようお願いするのも、立派なタスク管理の方法です。自分の記憶を当てにせず、思い出すきっかけを増やすという発想が抜け漏れを防ぎます。
管理する場所を1つにまとめる
メモ帳、スマホ、付箋など複数の場所にタスクが散らばると、確認漏れが起きやすくなります。タスクを書く場所は、できるだけ1つに絞るのがおすすめです。
「ここを見ればすべて分かる」という状態を作ると、探す手間と不安が減ります。紙でもアプリでも構わないので、自分が毎日必ず開く場所を選びましょう。
ADHDのタスク管理に役立つツール・アプリ
ここでは、ADHDのタスク管理に活用しやすいツールやアプリの選び方を紹介します。多機能さより「続けやすさ」を基準に選ぶのがコツです。

アプリって色々ありすぎて、どれを選べばいいか分からないんだよなあ。結局入れただけで使わなくなっちゃうし…。

あるあるですね。まずは手元のスマホ標準アプリから始めて、物足りなければ専用ツールを足すくらいで十分なんですよ。
まずは無料の標準アプリから始める
スマホに最初から入っているリマインダーやカレンダー、Googleの無料アプリでも、タスク管理は十分に始められます。新しいアプリを探す前に、まず手元のものを使ってみましょう。
通知やアラームと連携できる点も、忘れやすい人には心強い機能です。使い慣れたアプリのほうが、結局は長く続きやすい傾向があります。
発達障害の特性に配慮したツールを選ぶ
標準アプリで物足りないときは、発達障害の特性をふまえて作られたタスク管理ツールも選択肢になります。タスクを細分化しやすかったり、見通しを立てやすい設計のものがあります。
たとえば、当事者の声をもとに開発された「タスクペディア」のようなツールが知られています。無料で試せるものも多いので、いくつか触れて合うものを探すとよいでしょう。
ツールを使いこなそうとしすぎない
多機能なツールは魅力的ですが、設定や入力に手間がかかると続かなくなりがちです。ツールは「全部の機能を使う」ことより「毎日開いて続く」ことを優先して選びましょう。
最初はタスクを書く・チェックを入れる、この2つだけでも十分機能します。慣れてきてから、自分に必要な機能を少しずつ足していく進め方がおすすめです。
タスク管理を習慣にして続けるポイント
ここでは、ADHDのタスク管理を一時的に終わらせず、習慣として続けるためのポイントを解説します。続かないのは意志の問題ではなく、仕組みの問題です。
確認するタイミングを決めておく
せっかく書いたタスクも、見返さなければ抜け漏れにつながります。朝の始業時と昼休み明けなど、リストを見る時間をあらかじめ決めておきましょう。
既存の習慣とセットにすると忘れにくくなります。たとえば「コーヒーを入れたらリストを開く」のように、毎日の行動とひもづけるのがコツです。
完璧を目指さず6割でよしとする
きっちり管理しようとすると、うまくいかなかったときに一気に嫌になってしまいます。タスク管理は6割できれば十分くらいの気持ちで取り組むほうが長続きします。
できなかった日があっても、自分を責めずに翌日また再開すればよいのです。続けるうちに、自分に合うやり方が少しずつ見えてきます。
職場では合理的配慮を相談する
仕事のタスク管理は、自分の工夫だけで抱え込まなくて大丈夫です。指示を口頭ではなくメモやチャットでもらう、締切を早めに共有してもらうなど、職場に配慮を相談する方法もあります。
働き方の悩み全般については、ADHDと仕事の付き合い方をまとめた記事も参考になります。
ADHDの就労や仕事選び全般を知りたい人は、ADHDの仕事について解説した記事一覧もあわせてご覧ください。
ADHDのタスク管理に関するよくある質問
ここでは、ADHDのタスク管理についてよく寄せられる質問にお答えします。気になる項目から確認してみてください。
- ADHDだとタスク管理は無理なのでしょうか?
- 無理ではありません。記憶に頼らず書き出す、タスクを小さく分けるなど、特性に合う仕組みを使えば抜け漏れは減らせます。
- アプリと紙のどちらがおすすめですか?
- どちらでも構いません。通知が使えるアプリ、手書きで頭が整理しやすい紙など、自分が毎日続けやすいほうを選ぶのが大切です。
- タスク管理がいつも三日坊主で続きません
- 完璧を目指さず6割でよしとし、既存の習慣に確認のタイミングを組み込むと続けやすくなります。仕組みの問題と捉えてみてください。
- 仕事でタスクが多すぎて管理しきれません
- まず全部書き出し、今日やる1〜3個に絞りましょう。職場に指示方法や締切の配慮を相談するのも有効な選択肢です。
まとめ
ADHDがタスク管理を苦手とするのは、不注意や優先順位づけの難しさといった特性によるもので、努力不足ではありません。だからこそ、記憶に頼らずタスクを書き出す、小さく分解する、優先順位を見える形にするといった仕組みで補うことが役立ちます。ツールは多機能さより続けやすさを基準に選び、完璧を目指さず6割でよしとすることが習慣化のコツです。職場では合理的配慮を相談する方法もあり、自分一人で抱え込む必要はありません。

まずは「全部書き出す」ことから試してみてくださいね。困りごとが大きいときは、医療機関や支援機関に相談するのも一つの方法ですよ。
ワナワーク編集部
ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。
本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。

