大人の自閉症(ASD)とは|特徴・診断・困りごとを解説

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「自閉症って大人になってから気づくことがあるの?」と感じていませんか。子どもの頃は目立たず、社会に出てから困りごとが増えて気づく人も少なくありません。

ワナちゃん
ワナちゃん

友達のハルくん、大人になってから「自分は自閉症かも」って悩んでてさ。大人の自閉症ってそもそも何なのかな?

この記事では、大人の自閉症(ASD)の特徴・診断の流れ・仕事や生活での困りごと・利用できる支援までを、公的機関の情報をもとに分かりやすく解説します。

大人の自閉症(ASD)とは

ここでは、大人の自閉症(ASD)がどのようなものか、その基本的な考え方を解説します。まずは言葉の意味と全体像を押さえておきましょう。

自閉症(ASD)は神経発達症のひとつ

自閉症は、現在は「自閉スペクトラム症(ASD)」と呼ばれる神経発達症のひとつです。生まれつきの脳機能のかたよりが背景にあると考えられています。

厚生労働省の発達障害情報のポータルサイト「自閉スペクトラム症」では、社会的なコミュニケーションの難しさと、興味や行動の偏りが続く状態と説明されています。原因は遺伝と環境の相互作用とされ、育て方が原因ではないとされています。

大人になってから気づく自閉症(ASD)

自閉症(ASD)は生まれつきの特性であり、大人になってから発症するものではありません。ただし、知的な遅れや言葉の遅れが目立たない場合、子どもの頃は気づかれにくい傾向があります。

社会に出て対人関係や仕事の場面が複雑になると、困りごとが表面化しやすくなります。こうした流れで大人になってから受診し、自閉症(ASD)に気づく人が増えています。

アスペルガー症候群との関係

かつては特性のあらわれ方によって「自閉症」「アスペルガー症候群」「広汎性発達障害」などに分けられていました。現在はこれらをまとめて「自閉スペクトラム症(ASD)」という連続した概念でとらえます。

そのため、知的な遅れがないタイプは、以前アスペルガー症候群と呼ばれていた特性に近い場合があります。

アスペルガー症候群についての詳しい解説は、アスペルガー症候群の特徴をまとめた記事もあわせてご覧ください。

ワークさん
ワークさん

アスペルガー症候群も今はASDに含まれるんですよ。名前にとらわれず、特性の傾向を理解することが大切なんです。

大人の自閉症(ASD)に見られる主な特徴

ここでは、大人の自閉症(ASD)に見られる主な特徴を3つの観点から解説します。あらわれ方には個人差があり、すべてが当てはまるわけではありません。

対人関係やコミュニケーションの難しさ

大人の自閉症(ASD)では、相手の表情や言葉の裏にある意図を読み取りにくい傾向があります。冗談や皮肉を言葉どおりに受け取ったり、雑談が苦手だったりすることもあります。

悪気はなくても率直すぎる発言で相手を戸惑わせてしまうこともあります。本人は一生懸命でも、対人関係でのすれ違いが起きやすいのが特徴です。

強いこだわりや変化への苦手さ

特定の物事や手順に強いこだわりを持ち、自分なりのやり方やルールを大切にする傾向があります。物事が「いつも通り」であることに安心を感じやすいともいえます。

一方で、急な予定変更や臨機応変な対応が苦手な場合があります。仕事で突然の方針転換が起きると、強い戸惑いやストレスを感じやすい傾向があります。

感覚の過敏さや鈍さ

音や光、におい、触覚などの刺激に過敏な場合があります。逆に、痛みや暑さ寒さに気づきにくいなど、感覚が鈍い形であらわれることもあります。

たとえば、にぎやかなオフィスの物音が気になって集中しづらいといった困りごとにつながることがあります。感覚の特性は人によって大きく異なります。

特徴は人それぞれ

ASDは「スペクトラム(連続体)」と呼ばれる通り、特性のあらわれ方は一人ひとり違います。当てはまる項目の数だけで判断はできません。

大人の自閉症(ASD)の診断の流れ

ワナちゃん
ワナちゃん

ハルくんが「自閉症かも」って思ったら、どこで診てもらえばいいのかな?何科に行けばいいのか分からないよね。

ワークさん
ワークさん

大人の場合は精神科や心療内科が窓口になりますよ。ここでは受診から診断までの流れを順番に見ていきましょう。

相談・受診できる窓口

大人の自閉症(ASD)の診断は、精神科や心療内科で受けられます。発達障害を専門に扱う医療機関もあるため、事前に問い合わせておくと安心です。

いきなり医療機関に行きにくい場合は、各地域の発達障害者支援センターに相談する方法もあります。診断前でも相談に応じてもらえる場合があります。

診断で行われること

診断では、現在の困りごとに加えて、子どもの頃の様子や成育歴を詳しくたずねられます。問診や心理検査などを組み合わせて、総合的に判断されます。

母子手帳や通知表など、幼少期の様子が分かる資料があると役立つことがあります。受診の際は、困っている場面をメモにまとめておくとスムーズです。

診断は「特性の理解」のための手がかり

診断は、自分を否定するためのものではなく、特性を理解して対処法を見つけるための手がかりになります。診断によって支援制度につながりやすくなる面もあります。

セルフチェックはあくまで気づきのきっかけです。正式な診断は必ず医療機関で受けるようにしましょう。

大人の自閉症(ASD)の仕事や生活での困りごと

ここでは、大人の自閉症(ASD)のある人が直面しやすい困りごとを、仕事と日常生活の場面に分けて解説します。環境を整えることで和らぐものも多くあります。

職場での困りごと

曖昧な指示の理解が難しく、「適当にやっておいて」と言われると戸惑うことがあります。報連相のタイミングや雑談に苦手さを感じる人もいます。

厚生労働省のこころの耳「職域で問題となる大人の自閉症スペクトラム障害」では、会話が一方的になりやすい、急な予定変更で混乱しやすいといった職場での特徴が紹介されています。

日常生活での困りごと

段取りを立てて家事を進めるのが苦手だったり、予定の管理に手間取ったりすることがあります。感覚の過敏さから、人混みや騒音で疲れやすい人もいます。

自分なりのルーティンが崩れると、強い不安を感じる場合もあります。生活の流れを見える化する工夫が、安心感につながることがあります。

二次障害に注意する

困りごとを一人で抱え込み、無理を重ねると、うつや不安などの二次障害につながることがあります。特性そのものより、二次障害が大きな負担になる場合もあります。

こんなときは相談を

気分の落ち込みや強い不安、眠れない状態が続く場合は、無理をせず早めに医療機関や支援機関にご相談ください。

ASDのある人が職場で感じやすい苦手なことは、ASDが苦手なことと対処法をまとめた記事でも詳しく解説しています。

ASDが苦手なこと7選|理由と仕事での対処法を解説のアイキャッチ画像 ASDが苦手なこと7選|理由と仕事での対処法を解説

大人の自閉症(ASD)の困りごとを和らげる工夫

ここでは、大人の自閉症(ASD)の困りごとを和らげるための工夫を紹介します。特性を変えるのではなく、環境や伝え方を整える視点が大切です。

指示やルールを具体的にしてもらう

曖昧な指示が苦手な場合は、期限や手順を具体的に示してもらうと取り組みやすくなります。口頭だけでなく、文章やメールで残してもらうのも有効です。

「いつまでに」「何を」「どこまで」を明確にすると、認識のずれを防ぎやすくなります。確認のための質問は遠慮しなくて大丈夫です。

感覚の負担を減らす環境調整

音が気になる場合は、イヤホンや耳栓を使ったり、静かな席を相談したりする方法があります。光がまぶしい場合は、画面の明るさを調整するのも一案です。

自分にとって刺激の少ない環境を整えることで、集中しやすくなり負担が減ります。少しの工夫が大きな違いを生むことがあります。

得意なことを活かす視点を持つ

ASDの特性は、強みとしてあらわれることもあります。関心のある分野への集中力や、正確さ・几帳面さは、仕事で活きる場面が多くあります。

苦手を補うだけでなく、得意を活かせる環境を選ぶ視点も大切です。自分に合う仕事の選び方は、ASDに向いてる仕事をまとめた記事も参考になります。

ASDに向いてる仕事10選|特性別の適職を解説のアイキャッチ画像 ASDに向いてる仕事10選|特性別の適職を解説

大人の自閉症(ASD)が活用できる支援制度

ワナちゃん
ワナちゃん

大人になってから自閉症って分かっても、使える支援ってあるのかな?ハルくんにも教えてあげたいなあ。

ワークさん
ワークさん

もちろんありますよ。診断の有無にかかわらず相談できる窓口もあるので、代表的なものを紹介しますね。

発達障害者支援センター

発達障害者支援センターは、発達障害のある人やその家族の相談に応じる地域の窓口です。仕事や生活の困りごとについて、専門の相談員に相談できます。

診断前でも相談できる場合があり、最初の相談先として利用しやすい窓口です。必要に応じて適切な支援機関を紹介してもらえます。

就労移行支援

就労移行支援は、一般就労を目指す人が、働くためのスキルや生活リズムを整えるための福祉サービスです。職業訓練や職場探しのサポートを受けられます。

自分の特性に合った働き方を一緒に考えてもらえるため、就職に不安がある場合の選択肢になります。利用には条件があるため、窓口で確認しましょう。

障害者雇用という選択肢

障害者手帳を取得すると、障害者雇用枠での就職という選択肢が広がります。配慮を受けながら働ける一方で、求人の幅は限られる面もあります。

障害を開示するオープン就労と、開示しないクローズド就労には、それぞれメリットと注意点があります。発達障害のある人の就職全般の進め方は、ASD・自閉症の情報をまとめたカテゴリページもあわせてご覧ください。

大人の自閉症(ASD)に関するよくある質問

ここでは、大人の自閉症(ASD)について多く寄せられる質問にお答えします。気になる点を解消する手がかりにしてください。

自閉症は大人になってから発症しますか?
自閉症(ASD)は生まれつきの特性で、大人になってから発症するものではありません。社会に出て困りごとが増え、大人になって気づく人が多くいます。
大人の自閉症は何科を受診すればいいですか?
大人の場合は精神科や心療内科が窓口になります。発達障害を専門に扱う医療機関もあるため、事前に問い合わせておくと安心です。
自閉症とアスペルガー症候群は違うものですか?
現在はどちらも自閉スペクトラム症(ASD)に統合されています。アスペルガー症候群は、知的な遅れがないタイプの呼び名として使われていました。
診断を受けていなくても支援は受けられますか?
発達障害者支援センターなどでは、診断前でも相談に応じてもらえる場合があります。まずは地域の窓口に問い合わせてみるとよいでしょう。

まとめ

大人の自閉症(ASD)は、生まれつきの神経発達症の特性が、社会に出てから困りごととして表面化したものです。対人関係やコミュニケーションの難しさ、強いこだわり、感覚の特性などが見られますが、あらわれ方には大きな個人差があります。気づきのきっかけとしてセルフチェックは役立ちますが、正式な診断は精神科や心療内科などの医療機関で受けることが大切です。特性を理解し、指示の具体化や環境調整といった工夫を重ねることで、困りごとは和らげられます。発達障害者支援センターや就労移行支援などの支援制度も活用しながら、自分に合った働き方を見つけていきましょう。

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ワークさん
ワークさん

まずは一人で抱え込まず、相談できる窓口を頼ってみてくださいね。診断や治療が必要なときは、必ず医療機関にご相談くださいね。

この記事の監修者

ワナワーク編集部

ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。

本記事の免責事項

本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。