発達障害者支援法とは|定義・内容・改正点をわかりやすく解説

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「発達障害者支援法ってどんな法律?」と気になっていませんか。発達障害のある人を社会全体で支えるために制定されたこの法律は、就職・医療・教育など生活のあらゆる場面で活用できる制度の根拠になっています。

ワナちゃん
ワナちゃん

友達のミカちゃん、発達障害でいろんな支援を受けてるって言ってたんだけど、法律があるって知らなかったなあ。

この記事では、発達障害者支援法の目的・定義・支援内容・2016年の改正ポイント・利用できる支援機関までをわかりやすく解説します。

発達障害者支援法とは|制定の背景と目的

ここでは、法律が生まれた背景と基本的な目的を確認します。発達障害への支援は、この法律ができて初めて国の責務として明確に位置づけられました。

法律が制定されるまでの経緯

発達障害者支援法は、2004年(平成16年)12月に成立し、2005年(平成17年)4月から施行されました。それ以前は、自閉症やADHDなどの発達障害は既存の障害者福祉制度の「谷間」に置かれ、適切な支援が受けられない当事者が多くいました。

法律が整備される以前は、発達障害は「障害」として公的に認められていない状態でした。知的障害や身体障害に比べて制度整備が遅れており、当事者や家族は必要な支援を受けにくい状況にありました。こうした課題への対応として、議員立法により発達障害者支援法が成立しました。

法律の目的と基本理念

発達障害者支援法の目的は、「発達障害のある人がすべてのライフステージにわたって自立し、社会参加できるよう、切れ目のない支援を行うこと」です。国と地方公共団体が連携して支援体制を整備することを義務づけています。

2016年の改正では、基本理念として「社会的障壁を除去することで、すべての国民が個性を尊重しながら共生できる社会の実現」が明記されました。これは障害そのものよりも、社会環境側の改善を重視するという考え方(社会モデル)が採り入れられたものです。

ワナちゃん
ワナちゃん

「社会の側が変わるべき」って考え方が法律に入ったのか。それって大事なことだよね。

ワークさん
ワークさん

そうですね。障害は個人の問題ではなく、環境との相互作用で生まれるという「社会モデル」の考え方が、2016年改正で明確になりましたよ。

発達障害者支援法における「発達障害」の定義

以下では、法律が定める発達障害の範囲と、対象となる人を確認します。意外と広い範囲が「発達障害」に含まれています。

法律上の発達障害とは何か

発達障害者支援法第2条では、発達障害を次のように定義しています(発達障害情報・支援センター「発達障害者支援法と関連通知」より)。

発達障害の定義(第2条)

自閉症、アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するものとして政令で定めるもの

つまり、法律上の発達障害には次の障害が含まれます。

  • 自閉スペクトラム症(ASD):自閉症・アスペルガー症候群・広汎性発達障害を含む
  • 注意欠如・多動症(ADHD):注意欠陥多動性障害
  • 学習障害(LD):読み書き・計算などの特定の学習困難
  • その他の神経発達症:発達性協調運動障害なども含まれる場合がある

重要なのは、知的障害(知的発達症)は発達障害者支援法の定義には含まれていません。知的障害は「障害者総合支援法」「療育手帳制度」などの別の法的枠組みで支援されます。ただし、発達障害と知的障害を併せ持つ人は両方の制度を利用できることがあります。

法律上の「発達障害者」「発達障害児」とは

発達障害者支援法は、「発達障害者」を「発達障害がある者であって、発達障害及び社会的障壁により日常生活または社会生活に制限を受けるもの」と定義しています。

2016年改正前は「発達障害がある者」という記述でしたが、改正後は「社会的障壁により制限を受けるもの」という要件が加わりました。これにより、診断の有無よりも実際に生活上の困りごとがあるかどうかを重視する方向性が明確になりました。また「発達障害児」は18歳未満の発達障害者を指します。

法律に定められた主な支援内容

ここでは、発達障害者支援法が定める6つの支援分野を確認します。法律は「ライフステージ全体を通じた切れ目のない支援」を掲げており、各分野で国・自治体の責務が規定されています。

早期発見と早期支援

市区町村は、乳幼児健診などを通じて発達障害の早期発見に努めることが義務づけられています。早い段階で気づき、適切な支援につなげることで、二次障害(うつや不安障害など)を防ぐ効果が期待されます。

また、医師・保健師・教員などの関係者が連携して継続的に支援する体制を整えることも、国と自治体の責務として規定されています。

教育における支援

国と自治体は、発達障害のある子どもが適切な教育を受けられるよう、個々の障害特性や教育ニーズに応じた支援を行う義務を負います。2016年改正では、「個別の教育支援計画」の作成など、学校教育での配慮が強化されました。

また、大学・専修学校などの高等教育機関においても、発達障害のある学生への支援が求められるようになりました。これにより、義務教育だけでなく高等教育でも配慮を受けやすくなっています。

就労支援

都道府県・市区町村のハローワーク(公共職業安定所)や地域の事業主は、発達障害者が就職し安定して就労できるよう支援する義務があります。2016年改正では、就労定着支援(就職後も継続してサポートする仕組み)が強化されました。

就労面の主な支援内容を以下にまとめます。

  • ハローワーク専門援助窓口での求職支援
  • 就労移行支援・就労継続支援A型・B型の活用
  • 職場定着のための関係機関との連携
  • 事業主への障害特性の情報提供・啓発

発達障害のある方の就職や転職に関する支援制度については、発達障害と支援制度に関する記事一覧もあわせてご覧ください。

医療・福祉における支援

医療機関は、発達障害の専門的な診断・相談・治療体制を整えるよう努めることが求められます。また、医療と福祉の連携によって、診断後の生活支援(福祉サービスの利用)への橋渡しが行われます。

発達障害者支援センターが医療・福祉・教育・就労の中核的な調整機関として位置づけられており、複数の分野を横断した支援コーディネートを担います(発達障害者支援センターについては後述)。

家族への支援

2016年改正では、当事者の家族に対する支援も明確に規定されました。保護者向けの相談や研修、家族同士のピアサポートなど、養育者の負担を軽減するための取り組みが求められています。

発達障害の子どもを育てる保護者が孤立しないよう、地域の支援センターや親の会・当事者団体とつながる機会を提供することも、自治体の努力義務として位置づけられています。

司法手続きにおける支援

2016年改正で新設されたのが、司法手続きでの配慮規定です。刑事事件・民事手続き等で発達障害のある人が関わる際に、意思疎通を支援する方法(わかりやすい説明・筆談など)の活用や、専門家による助言が求められるようになりました。

これにより、司法の場でも発達障害の特性(文章の理解が苦手・口頭での説明が難しいなど)への配慮が制度的に担保されるようになっています。

2016年改正の3つのポイント

2016年(平成28年)6月の改正は、法施行から11年を経て行われた大規模な改正です。社会の変化と当事者・家族のニーズを踏まえ、支援の幅が大きく広がりました。

ワナちゃん
ワナちゃん

2016年の改正って、具体的に何が変わったのかな。ミカちゃんに教えてあげたいな。

ワークさん
ワークさん

大きく3つのポイントがあります。基本理念の追加・支援対象の拡大・関係機関の連携強化です。順番に見ていきましょう。

ポイント1:基本理念の追加(社会モデルの採用)

改正前には法律に基本理念の規定がありませんでした。改正によって「社会的障壁を除去することが重要」という基本理念が新たに加わりました。これは2016年に日本が批准した「障害者権利条約」の考え方とも一致しています。

「社会モデル」の考え方とは、障害は個人の問題ではなく、社会(環境・制度・偏見など)との相互作用で生まれるという視点です。この理念の明文化により、職場・学校・地域社会が環境を整える義務が強調されるようになりました。

ポイント2:支援対象の拡大と細分化

改正により、支援の対象・場面が拡大されました。具体的には以下の領域が追加・強化されています。

  • 高等教育機関(大学・専修学校等)での支援が新たに明記
  • 司法手続き(刑事・民事)での配慮が新たに規定
  • 家族支援が明確に規定(保護者の相談・研修・ピアサポート)
  • 就労定着支援が強化(就職後の継続支援の仕組みが追加)

ポイント3:関係機関の連携体制の強化

「発達障害者地域支援協議会」の設置が法定化されました。これは都道府県・政令市が設置する機関で、医療・福祉・教育・就労など多分野の関係者が一堂に集まり、地域の支援体制の整備・課題の共有を行う場として機能しています。

また、発達障害者支援センターの機能も強化され、より専門的な相談・支援が地域の身近な場所で受けられるようになりました。

利用できる支援機関を紹介

発達障害者支援法に基づいて整備されている主な支援機関を紹介します。それぞれ役割が異なるため、自分の状況に合わせて活用できます。

発達障害者支援センター

都道府県・政令市が設置する、発達障害支援の中核機関です。発達障害のある当事者・家族・支援者からの相談を受け付け、関係機関との調整や情報提供を行います。全国に約100か所以上設置されており、原則として無料で相談できます(国立障害者リハビリテーションセンター「発達障害者支援法」)。

主な役割は次のとおりです。

  • 発達障害に関する専門的な相談・情報提供
  • 就労・日常生活・家族への支援
  • 医療機関・学校・ハローワーク等との連携調整
  • 支援者(教員・福祉職員等)への研修

ハローワーク専門援助窓口

ハローワーク(公共職業安定所)には、障害のある人の就職を専門にサポートする「専門援助窓口」が設けられています。発達障害のある人も利用でき、求人紹介・職業相談・就職活動のサポートを無料で受けられます

障害者雇用枠での就職を検討している場合は、障害者手帳の取得が必要になることがありますが、ハローワークで事前に相談することで手続きの流れを教えてもらえます。

就労移行支援事業所

一般就労を目指す障害のある人が、原則2年間通いながら就職に向けたトレーニングや求職活動の支援を受けられる福祉サービスです。発達障害のある人も多く利用しています。

費用は前年度の世帯収入によって異なりますが、多くの方が無料または低額で利用できます。就職後も一定期間、職場定着支援を受けることができます。詳しくは発達障害の支援制度に関するページをご確認ください。

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発達障害者支援法と他の法律・制度との関係

発達障害者支援法は単独で機能するのではなく、他の障害者関連法律と組み合わせて活用されます。主な関連法律との関係を整理します。

障害者総合支援法(旧・障害者自立支援法)

2010年の改正で、発達障害のある人が「障害者総合支援法」の対象に明確に位置づけられました。これにより、就労移行支援・グループホーム・生活訓練などの障害福祉サービスを発達障害のある人も正式に利用できるようになりました

発達障害者支援法が「支援の理念・方向性・連携体制」を定めるのに対し、障害者総合支援法は「具体的な福祉サービスの給付」を定めています。2つの法律が連動して機能することで、実際の支援が届く仕組みになっています。

障害者雇用促進法との関係

「障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)」は、企業に対して障害者雇用率の達成を義務づける法律です。精神障害者保健福祉手帳を取得した発達障害のある人は、2018年から障害者雇用率の算定対象に加わりました

これにより、発達障害のある人が「障害者雇用枠」で就職する機会が広がっています。一方で、障害を開示せずに一般雇用枠で働く選択肢もあり、自分の状況に合わせた選び方が重要です。

障害者手帳と発達障害者支援法の関係

発達障害者支援法は、発達障害のある人への支援を規定しますが、支援を受けるために障害者手帳が必須というわけではありません。発達障害者支援センターへの相談や発達障害者支援法に基づく支援は、手帳の有無にかかわらず利用できます。

ただし、障害者雇用枠での就職・各種割引・就労移行支援の利用などは、障害者手帳(精神障害者保健福祉手帳または療育手帳)の取得が必要になるケースがあります。手帳を取得するかどうかは、自分の状況と希望に合わせて慎重に検討することをお勧めします。

発達障害者支援法に関するよくある質問

ここでは、発達障害者支援法についてよく寄せられる疑問にお答えします。

発達障害者支援法はいつできた法律ですか?
2004年(平成16年)12月に成立し、2005年(平成17年)4月に施行されました。2016年(平成28年)6月に大きな改正が行われています。
診断を受けていなくても支援を受けられますか?
発達障害者支援センターへの相談は、診断がなくても利用できる場合があります。ただし、障害者雇用枠の利用や就労移行支援などの福祉サービスは、障害者手帳が必要なケースがあります。
発達障害者支援法で受けられる就労支援にはどんなものがありますか?
ハローワーク専門援助窓口での求職支援、就労移行支援事業所でのトレーニング・就職活動サポート、就職後の定着支援などがあります。障害者手帳の取得で選択肢がさらに広がります。
子どもだけでなく大人も対象ですか?
はい。発達障害者支援法はすべてのライフステージを対象としており、子どもから大人まで支援を受けられます。就労・地域生活・家族支援など、成人への支援も明確に規定されています。
発達障害者支援法と障害者総合支援法の違いは何ですか?
発達障害者支援法は支援の理念・連携体制を定める法律で、障害者総合支援法は就労移行支援などの具体的な福祉サービスの給付を定める法律です。2つが連動することで実際の支援が届く仕組みになっています。

まとめ

発達障害者支援法は、2005年に施行された発達障害のある人を支えるための基本的な法律です。教育・就労・医療・福祉・司法など幅広い分野で国と自治体の責務を定めており、2016年の改正で社会モデルの採用・支援対象の拡大・機関連携の強化が図られました。法律に基づく支援機関(発達障害者支援センター・ハローワーク・就労移行支援事業所など)を積極的に活用することが、より良い生活・就労への第一歩になります。

発達障害に関する基本的な情報は、発達障害に関する記事一覧もあわせてご覧ください。

ワークさん
ワークさん

困ったときは一人で抱え込まず、まず発達障害者支援センターに相談してみてくださいね。専門家につないでもらえますよ。

この記事の監修者

ワナワーク編集部

ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。

本記事の免責事項

本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する制度・支援内容は一般的な傾向に基づくものであり、地域や状況によって異なる場合があります。