発達障害のメモの取り方|苦手な理由とコツ・続ける仕組みを解説

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「メモを取ろうとしても話が追えない」「書いてもあとで読めない」そんな悩みを抱えていませんか。発達障害のある人にとって、メモは特性と向き合いながら工夫が必要な作業です。

ワナちゃん
ワナちゃん

友達のユウちゃん(発達障害)がさ、「メモしても後から何を書いたかわからなくなる」って悩んでてね。うまいやり方ってあるのかなって思って。

この記事では、発達障害のある人がメモを取れない理由、特性に合ったメモ術・テンプレ・ツール、そして続けられる仕組みの作り方まで丁寧に解説します。

発達障害でメモが取れない3つの理由

まず「なぜ発達障害のある人にとってメモが難しいのか」を理解することが大切です。ここでは脳の特性に基づいた3つの理由を解説します。

理由1:ワーキングメモリの容量が小さい

ワーキングメモリとは、作業中に情報を一時的に保持しておく「脳の作業台」のような機能です。ADHD・ASDなどの発達障害では、このワーキングメモリの容量が小さいことが多く、「聞く」「理解する」「書く」の3つを同時にこなすことが非常に難しくなります。

たとえば、上司の指示を聞きながらメモを取ろうとすると、聞いた内容がどんどん消えてしまったり、書いている間に次の話に追いつけなくなったりします。これは怠慢ではなく、脳の機能的な特性によるものです。

理由2:聞くと書くの同時処理が苦手

メモを取るという行為は、「話を聞く→内容を理解する→要点を判断する→文字に書く」という複数のステップを同時並行でこなすマルチタスクです。発達障害のある人は、この注意の切り替えや同時処理が特に難しい場合があります。

厚生労働省の職場向けe-learningでも、「発達障害のある人は指示のどこが重要かを判断できず、一言一句全てをメモしようとしてしまう場合がある」と指摘されています(厚生労働省「発達障害のある同僚への接し方」)。

理由3:書いたことを忘れる・失くす

メモを取ることに成功しても、「どこに書いたか忘れた」「メモした紙を失くした」「見返す習慣がない」というケースも多く見られます。メモは書いて終わりではなく、見返して行動につなげる仕組みが必要です。これが習慣化されていないと、せっかく書いたメモが活用できません。

ワナちゃん
ワナちゃん

ユウちゃんもまさにそれで、「書いたメモをどこに置いたか忘れる」ってよく言ってたなあ。これって特性だったんだね。

ワークさん
ワークさん

そうなんです。「メモが取れない=努力不足」ではなくて、脳の情報処理の仕方の違いなんですよ。まず理由を知って、特性に合った方法を探すのが大事です。

ADHDの記憶力が低い理由とワーキングメモリの関係を解説のアイキャッチ画像 ADHDの記憶力が低い理由とワーキングメモリの関係を解説

発達障害のある人に合ったメモの取り方7選

特性を踏まえた上で、実践しやすいメモの工夫を7つ紹介します。完璧を目指さず、「自分に合うもの」を1つずつ試してみてください。

1. キーワードだけを書く(文章にしない)

メモは文章で書こうとするほど追いつかなくなります。数字・固有名詞・期限・成果物の名前など「重要なキーワードだけ」を書くのが基本です。「〇月〇日まで/報告書/Aさんへ」のように短く書くだけで十分です。

あとで自分が行動できればよいので、他人が読める必要はありません。「自分だけが読める暗号」くらいの割り切りで書くと楽になります。

2. メモのフォーマットを決めておく

「どこに何を書けばいい?」という迷いがメモを遅くします。フォーマット(書く場所と項目)をあらかじめ決めておくと、考えなくても書けるようになります。

シンプルなメモテンプレ例

【日付】 【誰から】 【何を】 【いつまでに】 【確認事項】

例)6/3 Aさん 〇〇資料作成 6/5午前中 フォルダはBに保存

電話メモ・ミーティングメモ・業務引き継ぎなど、シーンごとにテンプレを用意すると使いやすくなります。

3. 記号を使って分類する

文字を減らしつつ情報を整理するのに記号は便利です。あらかじめ自分専用の記号ルールを決めておくと、素早く分類できます。

記号意味
✓ or □やること(タスク)
重要・優先度高
!注意が必要
?あとで確認・不明
次のアクション

4. 聞く時間と書く時間を分ける

「聞きながら書く」が難しい場合は、まず話を聞くことに集中し、あとでメモするという順番に変えてみましょう。説明が終わったあとに「少し確認メモを取ってもいいですか?」と一言添えるだけで、多くの職場では対応してもらえます。

また、上司や同僚に書面での指示をお願いすることも有効な方法のひとつです。こうした環境調整は合理的配慮の観点からも認められています。

5. ボイスメモ・録音を活用する

スマートフォンのボイスメモ機能を使えば、書く負担なく情報を残せます。会議後や指示を受けた直後に「さっきの内容」を自分の言葉で録音するのも有効な方法です。

職場での録音は事前に上司や同僚の許可を得ることが必要です。「メモが苦手なので確認用に録音させてください」と正直に伝えると、理解を得られやすい場合があります。

6. デジタルツールを使ってメモを一元管理する

紙のメモは失くしやすいという問題があります。スマートフォンやPCのメモアプリに一元化すると、検索できて失くしにくくなります。

発達障害のある人に使いやすいメモツール例
  • Google Keep:音声入力・画像対応・タグ分類ができる。シンプルで使いやすい
  • Notion:テンプレートを作って使い回せる。ページ構造を整理しやすい
  • Apple メモ:iPhone標準搭載。音声入力やリスト機能が充実
  • Evernote:写真・音声・テキストを1か所にまとめられる

ツールは「自分が使い続けられるもの」を一つに絞ることが大切です。複数のアプリを使い分けるとかえって情報が散らばります。

7. 書いたメモを見返す時間を決める

メモを書いても見返さなければ意味がありません。「毎朝出勤後5分」「昼休みの最初」など、見返す時間をルーティンに組み込むのが効果的です。アラームやリマインダーを使って「見返す習慣」を仕組み化しましょう。

また、1日の終わりにメモを整理し、翌日のタスクリストを作るというルーティンも、仕事の抜け漏れ防止に役立ちます。

ワナちゃん
ワナちゃん

テンプレを作っておいて、見返す時間も決めておくといいんだね。ユウちゃんに教えてあげよう。

ワークさん
ワークさん

7つ全部やる必要はないですよ。まず1つ試してみて、合えば続ける。合わなければ次を試す、という気持ちで大丈夫です。

ADHDのタスク管理術|抜け漏れを防ぐコツとツールのアイキャッチ画像 ADHDのタスク管理術|抜け漏れを防ぐコツとツール

発達障害のメモを続ける仕組みの作り方

メモが取れるようになっても、続けるのが難しいと感じる人も多いでしょう。ここでは習慣化のポイントを解説します。

「完璧なメモ」を目指さない

メモが続かない大きな理由の一つが「完璧を求めすぎる」ことです。メモの目的は「完璧な記録を残すこと」ではなく「行動につなげるための補助をすること」です。後から読んで自分が動けるなら、それで十分なのです。

場所・道具・タイミングを固定する

「どのノートに書こう」「どのアプリを使おう」と毎回迷うことが、メモを取る行動の妨げになります。メモをする道具・場所・タイミングをひとつに決めて固定すると、考える手間が省けて習慣化しやすくなります。

  • ノートは「A6サイズ1冊」だけに絞る
  • デジタルならアプリを「Google Keepのみ」に統一
  • 「会議が終わったら即メモ確認」とタイミングを決める

確認・整理の時間をリマインダーで設定する

発達障害のある人は「見返そうと思っていたのに忘れた」ということが起きやすいため、スマートフォンのリマインダーやカレンダーで「メモ確認タイム」を毎日自動で設定するのが有効です。

最初は1日1回・5分だけから始めてみましょう。習慣が定着してきたら、タスクの優先順位付けや翌日の段取り確認など、メモを活用した自己管理の幅を広げていけます。

ADHDの対策10選|仕事と日常でできる工夫のアイキャッチ画像 ADHDの対策10選|仕事と日常でできる工夫

職場でメモしやすい環境を整えるには

個人の工夫だけでなく、職場環境を整えることもメモの取りやすさに大きく影響します。ここでは環境調整のアプローチを解説します。

合理的配慮として環境調整を依頼する

2016年施行の「障害者差別解消法」により、事業者は合理的配慮を提供する義務(国・自治体)または努力義務(民間企業・現在は義務化)があります。「口頭指示を書面でも共有してもらう」「指示を一度に一つに絞ってもらう」といった依頼は合理的配慮の範囲内です。

障害の開示(オープン就労)が難しい場合でも、診断なしで「メモを取るのが苦手なので確認用に書面をいただけますか」と伝えることから始めることができます。

就労支援機関に相談する

職場でのメモの取り方や仕事の覚え方で悩んでいる場合、就労移行支援事業所や発達障害者支援センターでは個別の支援計画を通じて相談に乗ってもらえます。特性に合ったメモ方法のトレーニングを受けられる機関もあります。

政府が運営する発達障害ナビポータル(国の公式ポータルサイト)では、各都道府県の支援機関を検索することができます。まずは気軽に問い合わせてみてください。

ワナちゃん
ワナちゃん

職場への依頼って言いにくいよね。でも合理的配慮として認められてるなら、ユウちゃんにも伝えてあげたいな。

ワークさん
ワークさん

ひとりで抱え込まず、支援機関を上手に使うのも大切な選択肢ですよ。発達障害専門の窓口で一緒に整理するのがおすすめです。

仕事が覚えられないのは発達障害?原因と対処法を解説のアイキャッチ画像 仕事が覚えられないのは発達障害?原因と対処法を解説 発達障害でも就職できる?雇用枠・支援制度の選び方ガイドのアイキャッチ画像 発達障害でも就職できる?雇用枠・支援制度の選び方ガイド

発達障害のメモの取り方に関するよくある質問

発達障害があるとメモが取れないのは仕方ないですか?
努力不足ではなく、ワーキングメモリや同時処理の特性によるものです。工夫次第で取りやすくなるため、自分に合う方法を少しずつ試してみてください。
メモをとることに集中すると話が頭に入らないのはなぜ?
ワーキングメモリの容量が限られているため、「書く」作業に認知資源を使いすぎると「聞く・理解する」に回る分が少なくなります。キーワードだけ書き、理解を優先する方法が有効です。
どのメモアプリが発達障害のある人に向いていますか?
シンプルに使えるGoogle KeepやAppleメモが使いやすいという声が多いです。音声入力も使えるため、書くのが難しい場合にも対応できます。まずは1つに絞って使い続けることが大切です。
メモを書いても後から読めない場合はどうすればいいですか?
文章で書こうとすると字が崩れやすいため、キーワードと記号だけで書く方法が有効です。また、書いた直後にメモを読み直す「即確認」の習慣をつけると読めなくなる前に補完できます。
職場でメモの補助をお願いするにはどうすればいいですか?
「書面での指示をいただけますか」「指示を一度に一つにしていただけますか」のような形で合理的配慮として依頼できます。就労支援機関のサポートを使いながら職場に伝える方法もあります。

まとめ

発達障害のある人がメモを取りにくいのは、ワーキングメモリの特性や同時処理の難しさによるもので、努力不足ではありません。キーワードだけ書く・フォーマットを決める・デジタルツールで一元管理する・見返す時間を仕組み化するなど、特性に合った工夫を積み重ねることで、少しずつ改善できます。また職場への合理的配慮依頼や就労支援機関の活用も有効な選択肢です。

発達障害の特性に合った発達障害のある人の仕事・働き方の情報も、あわせて参考にしてください。

発達障害と記憶力の関係|ADHD・ASDの特性と対処法
ワークさん
ワークさん

「完璧なメモ」より「自分が動けるメモ」を目指して。まず1つの工夫から試してみてくださいね。心配なことがあれば支援機関に相談することもお忘れなく。

この記事の監修者

ワナワーク編集部

ワナワーク編集部は、国家資格キャリアコンサルタント(キャリア相談歴8年)を有する就職・転職支援の専門家チームです。発達障害・精神疾患のある方の「働く」に寄り添い、厚生労働省などの公的機関や医療の一次情報をもとに、信頼できる情報をお届けしています。

本記事の免責事項

本記事は就職・キャリア支援の観点から作成されたものであり、医療的助言ではありません。診断・治療・服薬等については、必ず医療機関や専門家にご相談ください。記事内で紹介する職種・働き方は一般的な傾向に基づくものであり、個人差があります。